4月、新年度が始まりました。仙台市のある男の子も、この春小学生になりましたが、4月1日生まれなので、いわゆる「早生まれ」として、同じ4月生まれの人よりも1年早くの入学となりました。では、なぜ1日生まれが「早生まれ」になるのでしょうか。

4月1日生まれの新太くん

4月1日に誕生日を迎えた仙台市の丸山新太くん。2018年4月1日生まれの6歳です。

小学1年生になった新太くんですが、翌日の4月2日に生まれた人よりも1年早く小学生になります。つまり、いわゆる「早生まれ」として小学校に入学しました。

新太くんの母・丸山春香さん:
「(学年のなかで)一番月齢が低い状態で入学ということになります。保育園に入るにしろ、小学校に入るにしろ、こどもが小さい時の1年の成長の幅ってすごく大きいので、『不利になることが多くなるかな』と言う心配があって、できれば4月2日以降に産んであげたかった」

「早生まれ」として他の4月生まれの児童よりも1学年上になる新太くん。母・春香さんは、体格差などで心配な部分もありましたが、一方で良いこともあるといいます。

新太くんの母・丸山春香さん:
「覚えてもらいやすいというのはあります。小さいので、先生がすごく目をかけてくれて、かわいがってくれて。遠足などに行くときも必ず先生と手をつないでいる写真があったりとか。おんぶも他の子よりはしてもらうなど大事にしてもらえるという点では良かったと思う」

同じ年に生まれた人の中で、入学や進級までの期間が早くなる、いわゆる「早生まれ」は、1月1日から4月1日までに生まれた人を指します。新太くんのような4月1日生まれの人は、学年のなかで最後に誕生日を迎える人となって、その年の3月生まれの子どもたちと同じ学年になるのです。

では、なぜ4月1日生まれの人が、早生まれとして学年がひとつ上になるのでしょうか?宮城県教育庁の義務教育課に話を聞きました。

4月1日生まれ、なぜ「早生まれ」に

ちょっとわかりづらい、こうした運用の背景には、いくつかの法律が関係しているといいます。

県教育庁義務教育課 佐藤浩一さん:
「私たちも、いつも当たり前の形として受け入れていたのですが、今回取材のはなしを受けてくわしく調べてみました。調べてみたところ、どうも3つの法律が関係していることがわかりました」

県教育庁義務教育課の佐藤さんが挙げる3つの法律です。

学校教育法

まず1つ目は、「学校教育法」です。

学校教育法17条には「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。」とあります。そして、この法律の施行規則第59条には「小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。」とあります。この2つの条文をあわせると、「子どもは、満6歳に達した日の翌日以後、最初の4月1日から小学校に入学する」ということになります。

例えば、11月生まれの人の場合、6歳の誕生日を迎えた11月の次の年の4月1日に小学校に入学します。

では、4月1日生まれの子の場合はどうなるのでしょう。

「年齢計算ニ関スル法律」と「民法143条」

ここで絡んでくるのが、2つ目の法律です。ポイントは、「満6歳に達した日」がいつのことを指すのか、ということです。

県教育庁義務教育課 佐藤浩一さん:
「では、満6歳に達した日がいつなのか、ということになります。年齢の計算については『年齢計算ニ関スル法律』に定められています。
『年齢計算ニ関スル法律』の第1項には『年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス』。そして第2項には『民法第143条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス』とあります。つまり『生まれた日を1日目として計算し、その計算方法は民法143条の考え方を使う』ということです。

2つ目の法律が「年齢計算ニ関スル法律」、そして、3つ目の法律が「民法143条」になります。

県教育庁義務教育課 佐藤浩一さん:
「この『民法143条』。ちょっと分かるようで分からないので、民法のほうも見てみたいと思います。民法の143条によりますと、人は、誕生日の前日が終了するとき、つまり午後12時に初めて年をひとつ年をとる、ということになっています。つまり4月1日に誕生日の人はその前日となる3月31日の午後12時に年をとるということになる」

時計で考える「いつ年をとるのか」

この2つ目の法律、3つ目の法律を合わせて4月1日生まれの人がいつ年をとるのか、時計を用いて考えます。

深夜に時計の針が12で重なる時間の捉え方として、2通りの解釈ができます。3月31日の終わる瞬間、午後12時(24時)。そして、4月1日の始まる瞬間、午前0時。人はいつ年をとるか、というときに使われるのは前者の考え方です。つまり、誕生日の前日をまるまる一日過ごし終えたら、そのとき年をとる、ということです。

では、なぜこうした決まりにする必要があるのでしょうか。

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