暑い時期に欠かせないのが水分補給ですが、いま「水を飲みたくない」という子どもが増えていると言います。一体なぜなのでしょうか。
「うちの子は水が飲めない」スポーツドリンクを手渡される
日比麻音子キャスター:
水ジャーナリスト 武蔵野大学客員教授の橋本淳司氏の聞き取り調査によると…
母親
「小学生の息子は味のついていないものを飲みたがらない。食事中も水やお茶を飲まない」
母親
「中学生の息子はジュースや炭酸飲料を好み、お茶や水が嫌い。友達もそういう子が多いよう」
幼稚園教諭
「保護者から『うちの子は水が飲めないので、これを飲ませて欲しい』とスポーツドリンクを手渡された」
また、東京・八王子市立恩方中学校が2年生69人にアンケート調査をしたところ、「水を飲むのが苦手」と答えた人が10人いたそうです。
“苦手”と回答した生徒
「味がなくて、あまり好きではない」
「ちょっとだけ、まずそうに思えてしまう」
「外にある水道水は、菌とかがはいってないかが心配」
ただ、「苦手ではない」生徒の中にも、「ぬるい水はあまり好きではない」「浄水器を使った水じゃないとあまり飲まない」「水道水はあまり好きではないけど、ミネラルウォーターなどは飲む」「自宅以外の水道水を飲むのは少し抵抗がある」といった声がありました。
私も子どもの頃、ぬるい水を飲むのが苦手だった記憶があります。ちょっと様子が変わっているのでしょうか。
教育アドバイザー 清水章弘さん:
いまだに、ぬるい水が嫌いな子はやはり多いです。
私は子どもが2人いて、上が6歳、下が1歳なんですが、やはり水よりもジュースを飲みたがります。ただ、ぬるい水より、氷水の方が美味しいです。
そこで喉が乾くお風呂後に、氷を入れて水を飲むと「水って美味しいんだ」と気づけるので、私の家では意識しています。
日比キャスター:
日常で少しずつ慣れていくのも大事かもしれないですね。
「学校から“直接飲まないで”」43.2% 背景にコロナ禍か
日比キャスター:
最近は特に、水が苦手な子どもが増えているとみられます。その背景についてです。
【なぜ「水が苦手な子ども」増加?】
(1) 新型コロナの影響
(2) 家庭での“水飲み”習慣の変化
(3) 熱中症対策でスポーツドリンク常用
※水ジャーナリスト 武蔵野大学客員教授 橋本淳司氏より
他には、「水道や給水器から直接飲まないで」とコロナ禍に学校で指導をした背景がありました。
「サーモス株式会社」動向調査(全国の小中高の子を持つ親1321人を対象)によると、「水道や給水器から直接飲まないで」と▼学校で指導があったのは43.2%だそうです。時期について、コロナ以前からは15.0%、コロナ禍以降は28.2%でした。
そして、▼学校や部活へマイボトルを持参したのは、80.7%だそうです。頻度について、毎日持参は69.0%、時々持参は11.7%などという結果になったそうです。
恩方中学校 早川功 主幹教諭
「最近本当に水道水を飲んでいる子が減っている。修学旅行先に補充用のペットボトルを持参するケースもあった」
日比キャスター:
当時は「水道や給水器から直接飲まないで」と言われたので、やはりコロナ禍の影響があるのでしょうか。
教育アドバイザー 清水章弘さん:
その影響はあると思います。とある小学校の校長先生に取材したのですが、クラスの中で「先生、この水道水は飲んでいいですか?」と確認をし、安心をしてから飲むという子どもがいたそうです。不安の裏返しでもあるので、コロナの影響もあると思います。
ただ、私たちの世代は、子どものときに大自然に行って「川の水が美味しい!」と感じたことがあると思います。コロナ禍でなかなか移動ができず、自然や川の水を味わえなかったのも影響していると思います。
日比キャスター:
部活動などでは、スポーツドリンクを飲むのは当たり前の景色になってきました。ずいぶん様子も変わってきていますよね。
南波雅俊キャスター:
私がまだ小学生の頃はギリギリ「水はあまり飲むな」みたいなところもあって、隠れて飲む水道水は美味しかったと記憶しています。
スポーツドリンクもいいのですが、運動してない日もスポーツドリンクやジュースばかりだと、糖分過多になるリスクもあると思うので、気をつけなければならないと思います。
「家族全員で水を飲む習慣を」 “意識する時代”に
日比キャスター:
引き続き水分補給は重要になってきます。
水ジャーナリスト 武蔵野大学客員教授 橋本淳司氏
「熱中症や災害時に『水が飲めない』のは命に関わる問題」
いざという時のために、家族全員で水を飲む習慣をつけておいたり、遠足などで意識的に水を飲んでみたり、サマースクールや遠足などで水苦手を克服した事例もあるそうです。
教育アドバイザー 清水章弘さん:
子どもは、周りができている状況に身を置くことによってできるようになります。家族全員で、ご兄弟がいる場合はご兄弟と、友達がいる場合は友達と、みんなで自然と飲むことによって水を身近にする。そこを意識しなければいけない時代だと思います。
日比キャスター:
日本は、蛇口をひねれば安全に飲める水が出てくる環境です。それを感じるというか、そこから一つ学んでもらいたいと思います。
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<プロフィール>
清水章弘
教育アドバイザー
東大在学中に“勉強のやり方”を教える塾起業
学習法に関する著書多数
2児の父 36歳
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