皆さんは、岡山市在住の竹内昌彦さんをご存知でしょうか?生後間もなく右目を失明、さらには小学生のときに左目を失明し、これまで70年以上にわたって目の全く見えない人生を歩んできました。

そんな竹内さんのライフワークとも言えるのが「講演」です。これまで30年間で3000回近くの講演を行い、悩める多くの人たちを救ってきました。

小学生時代の壮絶ないじめ、青年期の大きな挫折、幼き長男の死...多くの苦難を乗り越えた竹内さんから紡ぎ出される言葉は、今を生きる人たちの心に響きます。

そんな竹内昌彦さんを、RSKラジオ・RSKイブニングニュース・RSK地域スペシャル メッセージでは15年に渡って追い続けてきました。「死ななくてよかった」「その言葉で命を救われた」「生きる勇気をもらった」...竹内さんの言葉・人生をシリーズでお送りしていきます。

【第1話】「『自殺するな 辛かったら逃げてもいい 死なずに待て』」

延べ30万人が聞いた 竹内先生の「命の言葉」とは

この年の1月、竹内昌彦さんは東京にいました。地元・岡山だけでなく、全国各地の講演会に呼ばれます。30年間で3000回、前の年も144回の講演を行ってきました。

講演会への移動中も、別の依頼の電話がかかってきます。

(竹内 昌彦さん)
「長門市での講演ですね。これどんなですかね、新山口駅まで迎えに来て頂くのはちょっと遠すぎますか?いいですか?」

日程が合う限りすべての講演に

この時、70歳。79歳になった今でも、日程が合う限り、全ての講演依頼を受けるといいます。

(竹内 昌彦さん)
「『来てください』と言うていただけたらね、有難いことですから行かせてもらいます。いま電話があったのは、山口県長門市のお寺からです」

この日は、千葉県大網白里市の福祉団体が開いた講演会です。講演先は、学校から企業・行政・老人会まで様々です。これまで延べ30万人が、竹内さんの講演を聞きました。

(主催者の男性)
「私、涙を流すことはあんまりないんですけど、その時は涙が止まらないくらい素晴らしい講演だったので、ぜひ皆さんに聞いてもらいたいと思って」

案内してくれる人の肘を掴み、壇上に向かう竹内昌彦さんです。案内をもとに喋るマイクを手で探します。

(竹内 昌彦さん)
「これが机ですね、マイクがこれですね」

目が見えないということ「みなさんと違う人生でした」

「みなさんと違う人生でした、目が全く見えない。もうあの稲光がしても見えない。そんな私たちにとって、世の中はとても優しい。我々を助けてくれています」

「これ、私の携帯なんですけど『ボタン式』です。『5』のボタンにだけ点が出ているの、ご存知です?【画像①】」

「だから『5』が分かれば上が『123』下は『789』と、目が見えんでも正確に番号を教えるし、メールだって書けますよ」

【画像①】

「こういう『喋る時計』ってのもあるんですよ【画像②】。これ一番小さいのを持って来たんですけどね」

竹内先生がボタンを押すと。。。
(時計)
「只今午後1時16分です、只今午後1時16分です」

「まぁ『只今』に決まっとるので、いちいち『只今』言わんでもええとは思うけどね、何べん言うて聞かせてもこれ言わ~ねぇ(一同笑い)」

【画像②】

「このフリカケの袋にも、ここに点字で『ゆかり』って書いてある【画像③上部】こんなものにもね」

「ただ、ちょっとこれは問題がありましてね。この封を切るとね、この点字の『ゆかり』がポロリと落ちるじゃないですか(一同笑い)。これはいけない、と思ったら横にも書いている」

【画像③】

「私が子供の頃には考えられなかった、世の中の優しさですよ」

「この悲しみが一生続く、と思うから絶望する。それは間違い」

長い教員生活で培われた軽妙な語り口で心をつかみ、本題に入っていきます。

(竹内 昌彦さん)
「私ね、70年近く生きて3回ほど『死にたい』と思うたことがあったんですよ。そのときに気をつけなければいけんのは、『この悲しみが一生続く』と思うから、絶望するんですよ。これは間違いでした」

「その後にね、必ず『やっぱり生きとってよかった』というときがみんな来た。だからこうやって生きとんですよ」

中国からの引き揚げ船で肺炎に「死んだら海に捨てるしかない」

1945年2月、竹内昌彦さんは中国の天津で生まれました。警察官の父とともに、半年間をこの地で暮らしました。当時、目は見えていました。

見えなくなったのは終戦後、天津からの引き上げ船でのことでした。生後6ヶ月の時に風邪をこじらせ急性の肺炎にかかり、何日も生死をさまよいました。

同じ船に乗り合わせた医師から『死んだら海に捨てるしかない』と告げられましたが、何とか一命をとりとめました。

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