県内4か所目の医療拠点として、鹿児島市の米盛病院を指定することが決まった県の救命救急センター。申請から2年あまり。う余曲折をたどったこれまでの経緯を振り返ります。

米盛病院は2014年9月、鹿児島市草牟田から与次郎に移転した総合病院です。

整形外科や救急科、外科などおよそ20の診療科、506の病床があり、おととし6月、救命救急センターへの指定を求め、県に申請しました。

県は去年12月、指定することが妥当かどうかを医師や県議、学識経験者ら21人でつくる県の医療審議会に諮問しました。

審議会は去年12月と今年3月、会合を開き、協議しましたが、「高度な医療を受ける機会が増えることは県民にとってメリットがある」という声があった一方、池田琢哉会長ら委員の医師を中心に「米盛病院の診療体制は鹿児島市立病院や大学病院のレベルに達していない」との反対の声が上がり、意見が割れていました。

2回の会合で意見が集約されない中、医療審議会は今月11日、慎重な判断を求める答申を県に出し、最終判断を委ねられた塩田知事は指定にかじを切りました。

県の決定を受けて米盛病院の米盛公治院長は19日、「正当で公平な評価をもらったと受け止めている。今後も各地域の医療機関や救急隊と密接な連携を取り、県内救急医療体制のさらなる充実に貢献すべく精進したい」とのコメントを発表しました。

塩田知事は19日の定例会見で指定に至った経緯を説明しました。医療審議会から慎重な意見が出ていたことに対しては、「米盛病院の医療提供体制は国の要件を満たしている」とし、指定の正当性を強調しました。

(Q.慎重な意見に対して知事はどう受け止めている?)
(塩田知事)「国の要件を満たしている。このことを持って指定することが今後の救命救急の底上げ、医療の向上に貢献できると最終的に判断した」

また、一部の委員が求めていた「霧島市や大隅地方での指定を優先すべき」という意見については、鹿児島市以外でのセンターの設置にも前向きな考えを示しました。

(塩田知事)「今回の指定が最後ということではなく、地域的な要請も踏まえて今後は霧島や鹿屋などの地域でも指定要件を満たせば順次指定していく。しっかり対応したい」

指定を巡っては、塩田知事が2期目の当選を果たした知事選に絡む「場外戦」もありました。

医療審議会の池田会長が代表を務める政治団体「県医師連盟」が、「救急医療体制の整備などで、塩田知事との政策協定にそごが生じた」などとして告示直前に塩田知事の推薦を取り下げ、対立候補の米丸麻希子さんを応援する異例の事態となりました。

(県医師連盟 池田琢哉委員長)「鹿児島の県政どうですか?明るくない。希望もない。この4年間、がっかりだった。ここで変化させないといけない。改革させないといけない」

(塩田知事)「鹿児島市内も足りない。医師会の推薦よりも県民の命を守りたい」

指定が決まったことを受けて19日、池田会長は…。

(県医療審議会 池田琢哉会長)「予想されていたことだが、私としては非常に残念。鹿児島全体の医療を考えたうえで、本当に鹿児島医療圏に救命救急センターを配置していいのか、各地域の医療体制を見ながら全体をふかんしながら体制づくりを進めなくてはいけない」

米盛病院は今後、事務手続きを経て正式に救命救急センターに指定されます。

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