フィリピンの東海上の低圧部は “台風の卵”か 今後熱帯低気圧に発達も

5月31日午後3時に台風2号が発生して以降、今年はその後、台風が発生していません。平年の台風発生数であれば6月は1.7個、7月は3.7個となり台風シーズンに入ってきますが、今年は発生のペースが遅くなっています。まだ数日以内に台風が発生する可能性は低く、今年の台風3号の発生は1951年の気象庁の統計開始以降で、少なくとも5番目に遅い記録となりそうです。

一方で、フィリピン周辺の海上では、台風の卵となるかもしれない雲のまとまりがここ数日確認出来ます。現在、天気図ではフィリピン付近とフィリピンの東海上の2つに低圧部を示すL字のスタンプがありますが、フィリピンの東の海上にある雲のかたまりが今後、熱帯低気圧となり北上する可能性があります。

気象庁が週間天気予報の作成などに用いる資料の一つであるアンサンブル予報でも、来週前半に沖縄から台湾にかけての海域に熱帯じょう乱の可能性を示す予想も一部に見られるようになっています。

この雲域は熱帯低気圧、さらには台風3号へと発達する可能性はあるのでしょうか。アメリカとヨーロッパの予報機関の予想を見てみます。

アメリカ海軍・海洋大気庁の予想 南西諸島方面へ北上するデータも

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

18日午後3時の発表で、フィリピン周辺の雲域について黄色の丸で表示しています。黄色い丸はこの雲域がJTWCの監視対象となったことを意味していますが、24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低くなっています。

JTWCでは、監視対象の雲域が定めた基準以上に発達すると予想される場合に、LOW(黄)→MEDIUM(オレンジ)→HIGH(赤)へとレベル分けした形で情報を発表します。赤色になると台風の発生時期に近づいた目安となります。それぞれの意味は以下の通りです。

LOW(黄):監視対象ではあるが、今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低い
MEDIUM(オレンジ):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性も高まっているが、発達するには24時間以上かかる見込み
HIGH(赤):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する見込み

アメリカ海洋大気庁の数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算した結果を示したアンサンブル予想結果です。フィリピン周辺とフィリピンの東海上にある2つの低圧部についての予想を発表していますが、このうちフィリピンの東の海上にある低圧部は、今後、沖縄周辺へと北上して東シナ海方面へ進むデータも示されています。ただ、まだ予想データのバラつきは大きい状況です。

【詳しく見る】アメリカ海洋大気庁の予想データ

ヨーロッパの予想 南西諸島方面へ熱帯低気圧が北上か

ヨーロッパ中期予報センターが発表している予想では、来週24日3時の地上気圧の予想図で、南西諸島周辺に丸い閉じた等圧線が見られます。

また予想した日時の48時間以内に風速17m/s以上の熱帯低気圧が300km以内のエリアに入る確率を示した予想データをみても、来週23日(火)以降に南西諸島周辺から東シナ海にかけて確率が高くなっているのがわかります。

フィリピンの東の海上にある低圧部が今後熱帯低気圧となって北上して南西諸島から東シナ海へと向かう可能性があることを示しています。

【詳しく見る】ヨーロッパ予報機関の予想データ

最終的に熱帯低気圧へと発達するのか、さらにそれが台風3号となるのかはハッキリしませんが、本州付近も梅雨あけして夏本番となり、台風シーズンも本番を迎える時期となりそうです。

※正式な台風に関する予報については気象庁が発表する情報を確認してください。

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