今月に入って、クマの出没が相次いでいます。

クマ 全国で目撃多数 冬眠あけ?人的被害も

日比麻音子キャスター:
クマの出没、被害が相次いでいます。
京都や北海道、さらには奈良ではけが人がでるなどしています。

14日 奈良・十津川村
70歳男性が建物の玄関でクマと遭遇 左ももをかまれるなどのけが

18日 北海道・名寄市
高校の近くで学校の職員から「クマが歩いている」と警察に通報

18日 京都・福知山市
レストランの倉庫にクマが侵入
→換気扇を壊して外に出たか

今まで、クマが出ていたような場所ではないところで出没しています。

昨年度、全国のクマの被害は過去最多となっていて、4月16日、環境省は「指定管理鳥獣」にクマを追加しました。(四国を除く)これによって国が自治体に対し、捕獲・調査費用を補助金などで支援するというものです。

「指定管理鳥獣」にはニホンジカ、イノシシも入っています。これらは全国的に著しく増加をしている、さらには生態系、人の生活する環境に被害を及ぼす可能性があるとして、集中的に広い範囲で管理をするといったものです。

クマの出没 中国地方で+270%

こちらは、環境省で行われた 専門家の検討会で発表された全国のクマ類の増加率です。
2003年度から2018年度までの15年間で、中国地方では+270%となっています。

【クマ類の分布メッシュの増減率】2003年度から2018年度
北海道 +129%
東北 +134%
関東 +126%
中部 +127%
近畿 +169%
中国 +270%
四国 ₋88%

萩谷麻衣子弁護士:
クマが指定管理鳥獣に指定されましたが、調査費用を国が支援するということが非常に重要だと思います。というのも、クマを捕獲して排除すればいいというものではなくて、クマの生態系・個体数などしっかり調査をして、適正な個体数を維持した上で、人との共存を図っていくことが大事なので、そういう意味で今回の指定は意味があるのかなと思っています。

日比キャスター:
増加ペースに関して、石川県立大学・大井徹特任教授は「個体数が増えてクマ同士で競争が起こり各地に分散している。生息域も拡大している」と話します。

さらに、東日本・西日本で特徴があるといいます。

東日本においては、東北などは古くから個体数が多くいました。出没する度に捕獲をしてきましたが、近年はハンターが高齢化するなどして捕獲する数が減っていることから、個体数も増え生息域も拡大しています。

一方で、西日本では2000年頃は「絶滅のおそれ」があったため、スプレーなどで“人の怖さ”を覚えさせて山に戻す「学習放獣」が実施されていました。

ただし、結果としては個体数が現在は急増。そして怖さを知らないクマもどんどん増えてきているということです。

人身被害 発生場所にはある特徴が…

2023年4月からの1年間で、クマに襲われる被害にあった人は、死亡6人を含む219人と過去最悪の数になっています。

さらには、こんな特徴も見えてきました。人身被害があった場所は、4月は森が100%。
ところが季節が進めば進むほど森がどんどん減っていき、増えていくのは人の家の周りや市街地。12月はほとんど全てがそういった場所になっているわけです。

萩谷麻衣子弁護士:
これはクマが一方的に悪いというわけじゃなくて、人間とクマの生活地域が接近しすぎてしまったっていうことに一番問題があるんじゃないかなと思うんですね。なので、どうにか人の生きる地域とクマが生きる地域の棲み分けを進めていく必要があると感じます。

南波雅俊キャスター:
例えば環境省のホームページを見ると、東京都で目撃された地域がでてくるんですね。どこに出たのか、自衛していくこともこれから本当に大事になってくると思います。

日比キャスター:
ただ数を減らすのではなく、とにかく正しいバランスにしていくということが重要なんだと思いますが、大井特任教授はこのようにおっしゃっています。

石川県立大学・大井徹特任教授
「防護柵・強固なワナの設置ではクマ対策としては不十分。各地で専門家と連携して地形などにあわせた対策が必要になってきている」

日比キャスター:
ここまでくると個人や民間ではなかなか及ばないという範囲になってきましたね。

萩谷弁護士:
国や行政が協力して対応する必要があると思いますし、私達もできること、例えば1人で山に入らないとか、外にいろんな食料を置かないとか、できることをやっていかなきゃいけないと思います。

日比キャスター:
冬眠が明けたこの時期、特に警戒が必要になってきそうです。


<出演者プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士。結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当。

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