新型コロナの影響で運休していた鹿児島と中国・上海を結ぶ定期路線が16日、4年5か月ぶりに再開されました。これで鹿児島空港を発着する4つの国際定期路線はすべて復活しましたが、路線を維持するうえで課題も見えています。

(記者)「関係者が迎える中、上海から到着した乗客が姿を見せました。空港は歓迎ムードです」

新型コロナの影響で2020年2月から運休していた中国東方航空の鹿児島と上海を結ぶ定期便。16日、4年5か月ぶりに鹿児島空港に降り立ちました。上海からの乗客の数は113人で、搭乗率は72%でした。

(鹿児島は3回目・上海からの観光客)「コロナ前に来たときの印象が良かったので、また来た」

(鹿児島は初めて・上海からの観光客)「火山が見たい。1時間ちょっとで来られるのでとても便利」

鹿児島からは火曜と土曜の週2回、午後1時50分に出発し、上海からは火曜の午前10時5分、土曜の午前9時55分に出発します。

コロナ禍前、鹿児島空港では4つの国際路線が運航していましたが、2020年1月からすべて運休していました。その後、水際対策が緩和され、去年6月に香港、去年10月に韓国・ソウル、そして今年5月に台北との直行便が再開されました。

復活のカギとなったのが、訪日外国人客=インバウンドの回復と、航空機の誘導や乗客の案内などを担う地上業務「グランドハンドリング」のスタッフの確保です。

鹿児島空港では、コロナ前におよそ400人いたグランドハンドリングのスタッフが一時、320人ほどに減りましたが、県外の空港から応援に入るスタッフの交通費や宿泊費を助成するなどし、380人を確保しました。

しかし、その一方で、16日に再開された上海線に鹿児島から乗った人は47人で、搭乗率にするとわずか30%。他県の空港から日本へ入り、鹿児島からの直行便で上海に戻る中国人などが中心で、日本人観光客の姿は目立ちませんでした。

(霧島市から上海へ向かう出張客)「商談で上海に行く。直通で行けるのは違う。(Q.会社の経費も?)だいぶ抑えられたと思う」

(霧島市から上海へ向かう出張客)「うれしい。移動が楽なので。(私の場合は)東京まで行かないとビザが取れない。短期の旅行は厳しい」

国際路線を維持するには、鹿児島から海外へ向かう客=「アウトバウンド」をどれだけ確保できるかも課題です。しかし、中国への渡航には今はビザが必要な上、円安の影響も壁になっています。

また、鹿児島県民でパスポートを持っている人の割合=取得率は7.92%と、47都道府県のうち43位にとどまっています。このため、県では取得にかかる費用を助成するなどして国際路線の利用を促しています。

(大塚大輔副知事)「再開した以上はより多く皆さんに使ってほしい。さらなる国際線の増便や路線拡充も視野に入れ、県としても取り組みたい」

一方、今年、県内の港には来月まででクルーズ船の寄港が110回予定されていて、過去最多だった2019年の156回並みの回復が期待されます。

鹿児島でも復活の兆しを見せているインバウンド。路線を維持するために、鹿児島から海外へ向かうアウトバウンドをいかに増やすかが課題となっています。

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