京都の夏を彩る祇園祭。そこで売られているのが「厄除けちまき」です。34基ある山鉾それぞれで作られていて、疫病退散や学業成就など縁起物として京都では多くの家の玄関先に飾られています。
(訪れた人)「去年のものを奉納しにきて、今年また新たに1年間の家族平穏を祈って」
(訪れた人)「習い事にすごくいいご利益があるみたいで。(子どもに)なにか得意なことが見つかるといいなと」
しかし今、この「ちまき」をめぐり、“ある事態”が…。
(霰天神山保存会 古川晃理事)「来てお参りいただいた方に、満足できる(ちまきの)本数が授与できるとは思えない。正直途方に暮れた状態ですよね」
祇園祭で巡行する山鉾の1つ、「霰天神山保存会」理事の古川晃さん。雷と火災除けの御利益がある厄除けちまきを業者に発注していましたが…
(霰天神山保存会 古川晃理事)「ちまきの業者さんに注文依頼をしましたが、当初注文していた本数の約3分の1しか入ってこないと急に言われまして…。(Qその原因は?)直接はわからないですが、やはり作り手不足」
ちまきはワラを笹の葉で包み、イグサを等間隔に巻いて束にしたもの。熟練の技が必要ですが、高齢化により深刻な人手不足になっているといいます。こうした状況に「霰天神山」では…
(霰天神山保存会 古川晃理事)「せっかくお祭りに来ていただいた方に何かできないかということで、今回新たに書き置きの御朱印を準備させていただくことになりました」
水墨画タッチのちまきの絵柄に、今年の巡行の順番が添えられた御朱印。少しでも参拝者の記念になればと今年から新たにちまきの代わりに御朱印を用意したのです。
(霰天神山保存会 古川晃理事)「本来であればちまきを授与したいっていう思いはすごく大きいです。慰めじゃないですけど、今御朱印ブームなので、これでもあればご参拝者の方も納得いただけるんじゃないかなと、苦しい心境でもあるんですけど」
他にも“ちまき不足”への新たな試みをする山鉾があります。放下鉾保存会の理事を務める松原常夫さん。例年4000本のちまきを準備しています。放下鉾ではミシンの製造を手掛ける会社と連携し、ちまき作りの工程の一部を担う機械を作りました。
(放下鉾保存会 松原常夫理事)「機械やと一定なので、人間の手よりは遅いです。ベテランよりは遅いですけど、しっかり均等に巻ける」
職人技の機械化に抵抗もありましたが、“長年続くちまきを残す”ことが大事だといいます。
(放下鉾保存会 松原常夫理事)「ちまきは京都のご家庭の玄関先にぶら下げてある。毎年のちまきの伝統を守りたい。同じ風景がずっと続いていくことが大事かなと。ちまきを残したいなというのはずっと思っている中でここまで来ましたね」
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