北海道室蘭市の給油所からガソリンが漏れ出し、水道水から発がん性物質のベンゼンが検出された問題。
住民たちは健康への不安を抱き続けながらの生活を余儀なくされています。

室蘭市に暮らす、新岡尚さん。日々の生活に「疑い」がつきまとっています。

室蘭ベンゼン被害者の会 新岡尚代表
「水飲んでいようが何しようが、飲んだ後に『この水大丈夫なのか』とかって思う」

 新岡さんが暮らす室蘭市高砂町では2022年7月、給油所からガソリン約2100リットルが漏れ出していたことが発覚。

周辺の水道水から国の基準の2倍を超える発がん性物質のベンゼンが検出されました。

事態を受け、給油所を所有するエネオスと運営する北海道エネルギー、そして室蘭市は対象の住民1人あたり50万円から200万円の補償を示しました。

 一方、新岡さんら住民は被害者の会を結成。補償額に差がある根拠などについて回答を求める質問状を提出していますが、会社側への不信感は拭い去れないといいます。

室蘭ベンゼン被害者の会 新岡尚代表
「自分たちが質問したことに対してその場しのぎの回答しかしない、そしてこちらから問いかけないと向こうからは来ないっていうのが今までのスタイル」

室蘭ベンゼン被害者の会
「どうぞよろしくお願い致します」

 新岡さんらは4月、再び室蘭市の青山市長のもとを訪れました。エネオスに対し、対応の改善などを求める要望書を届けるためです。

 そして、青山市長みずから東京のエネオス本社に出向き、山口敦治社長に要望書を手渡しました。

室蘭市 青山剛市長
「被害に遭われている皆さん方の想いを率直に私の方から山口社長にお伝えさせていただいた。会社としてもしっかりと精査をした中で住民の皆さんに対応していくという話だった」

 ただ、室蘭市によりますと、面談の中で山口社長からは補償の支払いや現地視察の具体的な時期について明言はありませんでした。

室蘭ベンゼン被害者の会 新岡尚代表
「身体的なところよりも精神的な部分やられる。不安感だったりとか、これからどうなるんだろうっていう思いを毎日みんな考えるんじゃないですかね」

 いつまでこの苦しみを味わえばいいのか。
新岡さんらはエネオス側に適切な情報提供や社長による直接の謝罪などを求め続けています。

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