28人が死亡した熱海土石流災害の遺族などでつくる「被害者の会」の会長が、8月上旬に静岡県の鈴木知事に面会することがわかりました。会長と鈴木知事が会うのは初めてで、県独自の盛土規制条例の議論をめぐり会長は意見書を提出する予定です。

2021年7月3日に静岡県熱海市で発生した土石流災害では28人が亡くなり、建物被害は137棟にのぼりました。土石流の起点にあった違法な盛り土の崩落が被害を拡大したとして遺族らは“人災”を指摘。裁判も起こしています。

この災害を教訓に施行された“全国で最も厳しい”とされる県独自の盛土規制条例をめぐっては、審査などの強化で工事の遅れや経済的負担を懸念する声が業界団体から挙がっていました。

県議会の特別委員会では改正なども視野に検証作業を続けていますが、土石流で母を亡くした「被害者の会」会長の瀬下雄史さんは、再発防止を目的に整備された条例の意味を大事にしてほしいとして鈴木知事に直接意見書を提出する予定です。

<被害者の会 瀬下雄史会長>
「条例をただ単に緩くするとか、なし崩し的なものに改悪するようなことがしないで欲しい」

関係者によりますと、瀬下さんと鈴木知事の面会は8月7日に決定し、その場で意見書を手渡すということです。鈴木知事就任後、「被害者の会」会長が知事と会って話をするのは初めてです。

<被害者の会 瀬下雄史会長>
「安全ということを最優先に、再度、条例の見直しを行ってほしいということを意見書として述べさせてもらう」

瀬下さんは取材に対して、優良企業の経済活動を阻害しないことを前提に「同じような悲劇を起こしてはいけない。安全最優先の政治判断をお願いしたい」と強調しました。

2024年7月3日で土石流の発生から3年となりました。鈴木知事はその際に慰霊式への参加と現場の視察をしていて、8月の「被害者の会」会長との面会時にどのような意見交換をするのか注目されます。

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