バターを作るときにできる副産物『バターミルク』をご存じでしょうか。これまでは、ほぼすべてが廃棄されていました。

函南町の観光牧場が廃棄されていた『バターミルク』を使って新たな名物を誕生させました。

「お待ちどうさまでした。あみにょん焼きです」

道の駅伊豆ゲートウェイ函南です。こちらで販売されているのが、『あみにょん焼き』です。

函南町の仏の里美術館に所蔵される、阿弥陀如来坐像をモチーフにした焼き菓子で、餡子やバターを挟んだ土日祝日限定で販売されている名物です。

<観光客>
「美味しい?」
「うん」

Q.あみにょん焼きは美味しい?
「美味しいです」
「柔らかくてバターが入っておいしいです」

『あみにょん焼き』の最大の特徴は生地に『バターミルク』が使われていることです。

<伊豆丹那の酪農王国オラッチェ 伊藤嘉一さん>
「バターミルクとは、バターを作るときに出る水分です。こちらがバターで、こちらがバターを作るときに出た水分です。」

『バターミルク』はバターを作る際に生クリームから脂肪分を取り除いた後の液体です。

低脂肪・低カロリーでビタミンB12、カルシウムなどが豊富と言われていますが、現状では活用されることは少なくほぼ廃棄されています。

<伊豆丹那の酪農王国オラッチェ 伊藤嘉一さん>
「月に1200キロ廃棄されています。現状でいうと雑菌の繁殖スピードが速いので取り扱いの難しさから、大半が廃棄されていることになっています」

バターミルクを何とか活用したい。試みたのは名産の丹那牛乳を使い、お菓子などを製造している函南町の観光牧場『オラッチェ』です。『あみにょん焼き』はこちらで作られています。

生地作りには水は一切使いません。水分として使うのは、バターミルクだけです。バターミルクを使うことで、乳製品の上品な香りと味を作り、高い乳化力がふんわりとして柔らかな食感を実現しました。

<酪農王国オラッチェ 渡邉聡さん>
「味とコクが違いますね、焼きあがったときにしっとりさも違います。風味も全然違いますね。バターミルクはここ数年、この業界では注目されているものになっています。うちは製造工場と隣接しているので、廃棄していたものを環境問題も考えて、それを使ってお菓子作りができないかということが始まりです」

『オラッチェ』ではバターと製菓の製造が同一の敷地内で行われているため、バターミルクの利用がしやすい環境にありました。

あみにょん焼きに使うバターミルクは、使う量に合わせ小分けにして冷凍保存することで雑菌の繁殖を防ぎます。

これまで丹那牛乳では年間およそ14000キロ、月におよそ1200キロのバターミルクが廃棄されていました。

<伊豆丹那の酪農王国オラッチェ 伊藤嘉一さん>
「まずはあみにょん焼きで販売拡大することで、バターミルクの使用量が少しずつ増えていくこと、その結果、丹那地域の酪農家収入の向上に貢献できるようなところまで一歩ずつ行きたいなというのが今思っているところになります」

当初は道の駅限定の『あみにょん焼き』でしたが、現在ではオラッチェでも土産物として販売もされています。廃棄されるバターミルクで作られた新たな地元の名物、それが地域の元気につながっていきます。

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