7月4日、八幡平の散策路のわきに設置された監視カメラが1頭のツキノワグマの姿を捉えました。

全国的にクマによる人的被害が増加傾向にある中、この時期、特に山の中でクマに遭遇する危険性を取材しました。

こちらの映像は7月4日午後4時半ごろ、秋田県鹿角市の八幡平大沼の周辺の散策路に設置されたカメラの映像です。


1頭のツキノワグマが人の気配を感じて走り、警戒して周囲を伺うような様子が映っています。
秋田県鹿角市の八幡平ビジターセンターでは、八幡平の散策路にセンサー付きの自動撮影装置を設置していて、クマの出没が多くなる6月ごろからパトロールを実施しています。
管理スタッフの阿部明広さんは撮影データの回収を担当しています。

阿部さんの回収作業に同行すると、散策路入口の標識にもクマの爪痕が見つかりました。

(阿部明広さん)
「『きのう無かったけど今朝来たらあった』みたいな日がありました。今月の初めだと思います」

ビジターセンターでは、散策路の周辺に10機の撮影装置を設置しています。
クマが映った場合も映らなかった場合も、その情報を掲示板やSNSで発信し、出没状況を知らせています。
八幡平ではこの時期、さまざまな高山植物が見頃を迎え、多くの登山客が訪れます。
一方で八幡平の大沼にはクマが好んで食べるミズバショウが自生していて、出没が増加するなど、遭遇の危険性は増しています。


直近5年の周辺カメラの統計によりますと、クマは午前4時から午前8時と、午後3時から午後8時の時間帯に多く撮影されています。

(阿部明広さん)
「この前の映像は夕方の時間帯だったが、エサを求めて来る、日中も腹が減ってエサがないと困るクマもいるのは事実」

また、今回のように雨の降る日は遭遇のリスクが高まります。

(阿部明広さん)
「雨が降ると葉っぱに雨が当たってバタバタ音がする。その音が邪魔をして、クマがいてもお互いに気が付かない。遭遇のリスクが高くなる」

今回回収したデータにはクマは映っていませんでしたが、前回映ったクマについて阿部さんはこう分析しています。

(阿部明広さん)
「このクマは人を恐れているというか会いたくないというか、だから避けたと思う」

岩手県内では今年度、ツキノワグマによる人身被害は4件発生していて、このうち3件は山の中で発生しています。

(阿部明広さん)
「クマ鈴もスプレーも『いるかもしれない』という心構えが大事」

阿部さんは山を訪れる際はスプレーなどクマ対策の装備を徹底して、常にクマ遭遇の危険性を認識してもらいたいと呼びかけています。

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