大分市で去年8月、妻と9歳の息子を殺害した男の裁判員裁判の初公判が19日開かれ、男は起訴内容を認めました。検察は普段から夫婦間で口論が絶えず、妻の一言で被告の怒りが頂点に達し、犯行に及んだ経緯を明らかにしました。

殺人の罪に問われているのは、大分市羽田の無職、首藤伸哉被告(67)です。

起訴状などによりますと、首藤被告は去年8月8日から9日にかけて、自宅で妻の李東娜さん(38)と息子の首藤佑馬さん(9)の胸などを、ペティナイフで突き刺して殺害した罪に問われています。

19日開かれた裁判員裁判の初公判で、首藤被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

きょうの廷内(大分地裁)

冒頭陳述で検察は犯行の経緯について説明しました。

検察によりますと、被告は特発性拡張型心筋症を患い、2021年2月に仕事を退職。

2021年8月に李東娜さんと再婚したが、李さんから金銭面や過去の女性関係について、厳しく詰め寄られたり、被告が大切にしていた仏壇の小物を床にばらまかれるなどして、度々、口論となり、お互いに包丁を持ち出す大げんかとなった。

その後、「妻を殺す際には息子も殺そうと考え、警察に捕まるくらいなら自分も死のう」と思い、11月頃にぺティナイフを購入。

「子どもをおろす」と言われて怒りが頂点に

2023年3月に妻が妊娠したが、事件当日に再び口論となり、妻が「子どもをおろす」「もう家を燃やす」などと言って、点火棒ライターで仏壇に火をつける仕草を見て、被告は怒りが頂点に達し、犯行に及んだと動機を指摘しました。

また、犯行がすぐに発覚しないように、部屋の冷房を最低温度の17度に下げたり、消臭剤をおいたりしたほか、自らの病気が原因で将来に悲観して無理心中を図ったかのように装うため、遺書を作成したと説明しました。

よって、被告の犯行は

・周到に用意された計画的なもの
・動機が身勝手で人命軽視の姿勢がはなはだしい
・犯行後の行動も自己中心的で反省の色が見られない などと強調しました。

一方、弁護側は「喧嘩の末にお腹にいる赤ちゃんをおろすなどと言われて、希望を失った被告は突発的に犯行に及んだ」と述べました。

裁判は4月23日に結審し、26日に判決が言い渡されます。

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