野菜のカットと販売を主に行う熊本の会社が、新たな取り組みを始めています。

ユニークピザを生み出す地場工場

去年、誕生したおいしそうなピザ。熊本県産食材をふんだんに使っています。

黄色いソースは東陽町産の生姜と、八代産ジャガイモがのった…その名も『しょうがネーゼ』。

生産者「おつまみ感覚で食べられて 私はビールと!(笑)」

鮮やかな緑のピザは、氷川町産の大葉のソースと芦北産のちりめんじゃこの「LOVE IS 大葉(ラブ イズ オオバ)」。

ヒット曲「ラブ・イズ・オーヴァー(by 欧陽菲菲)」が元ネタです

これらのピザを作っているのは、熊本県八代市東陽町に本社を置く「トーヨー」です。

旧東陽村内などで生産される野菜を必要な大きさにカットし、病院や施設に納品する事業のため、約30年前に設立された会社です。ところが。

トーヨー 営業兼購買調達担当 山口竜吾さん「どうしても野菜の相場が天候に左右されやすいんですよね。安く仕入れて、なおかつ通年、低価格で供給できればと、冷凍事業を考えたのが、きっかけです」

そこで、去年10月から始めたのが「冷凍食品の製造・販売」の新事業。

旬の時期に野菜を多く調達できれば、仕入れも販売も、安定した価格でできるというメリットがあります。

手始めに、幅広い年代に人気のある「ピザ」を商品化することに。

山口さん「地元の野菜がピザのソースに合うので、生かせると思って」

生産拠点を東陽町にしたのも理由があります。

山口さん「一番は生産者さんに直接繋がっているので、新鮮な野菜がすぐ手に入るところ」

『規格外』は見た目だけ

山口さんが仕入れにやってきたのは、氷川町で大葉を生産する石原さんのハウスです。

山口さん「また小さいサイズください!」

大葉生産者 萬笑 石原信廣会長「いつでも言ってください!」

市場などに出荷する大葉は、10枚ずつに束ねてパック詰め。ですが、山口さんたちが仕入れるのは、見た目が悪いだけの摘みたて大葉です。

石原会長「全部処分ですよ。少しでも傷が入れば商品になりませんので。それを使っていただいております、トーヨーさんに」

“摘みたて”だから、味が悪いはずありません!この大葉を買い取り、加工に使います。

石原会長「捨てるはずのものがお金になるのは、非常に結構なことです」

さらに鏡町の宮田さんの農園では、ジャガイモを買い取ります。傷はなく、見た目が悪い、という訳ではなさそうですが…?

ジャガイモ生産者 宮田大さん「でこぼこしているのは市場に出せないので」

ジャガイモは、大きく育ったものも“規格外”になるそう。ですが、実はこの大きさが加工向きです。

山口さんによると、大きいのを皮をむく方が、作業効率が上がるのだとか。

校長室が冷凍室に

11年前に閉校した『旧河俣小学校』の校舎が “冷凍ピザの工場” です。

家庭科室だった場所は野菜加工室に、元校長室には巨大な冷凍装置が。

さらに「ほうそうしつ」と書かれた部屋は、放送室…ではなく商品の “包装” 室です。

シャレが効いてますねぇ

加工室では、石原さんが育てた大葉でピザ作りが始まりました。

大葉をペースト状にし、ニンニクを効かせたソースにして、ピザ生地にまんべんなくたっぷりと塗ります。そこへ芦北産のちりめんじゃこと、モッツァレラチーズをトッピングして冷凍装置のなかへ。

冷凍装置は、こだわりの「プロトン凍結」。「磁力」と「電磁波」と「冷風」の3要素を駆使して急速に凍らせるという、最新の技術をつかっています。

細胞破壊を防ぎ、鮮度や風味が損なわれずに保てるそうです。30分で冷凍が完了すれば、商品の出来上がり。

現在、インターネットやイベントで販売しています。

地元の野菜を主役した冷凍ピザ。出来栄えや味はどうなのでしょうか?

大葉の農園の従業員「一般的なピザとは違いますね。食べれば食べるほど美味しく感じます」

石原会長「焼いているけど大葉の香りが強いです。本当においしいですよ」

トーヨーの冷凍事業は、動き出したばかり。ピザだけでなく、新しい商品の開発にも乗り出しています。

たとえば、地魚のハモやコノシロなどを生かした押し寿司や、野菜たっぷりのだご汁。さまざまな県産食材が主役のメニューづくりです。

山口さん「あとちょっとで商品化できそう。地域に人が少なくなってきているので、町おこしにつなげて、野菜は地の利を生かしているので、これからも良い方向に盛り上げていきたい」

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