福島県内で様々な動きがある「メガソーラー」。

郡山市で建設工事が進んでいたメガソーラー事業では、盛り土部分に不正が発覚したとして、県が工事の中止を指示しました。

関根佑記者「問題があったメガソーラーの建設現場です。近くには住宅のほか田んぼなどもあります」

2020年から郡山市逢瀬町で進んでいたメガソーラーの建設事業。今年6月に完成する予定でしたが、工期を過ぎた現在、メガソーラーの建設現場は、完成間近の状態で工事が止まっています。

県内9件の工事で不正、中止指示

県によりますと、今年5月、「不適切な工事が行われている」と情報提供がありました。その中身は、盛り土の固め方に弱い部分があることと、盛り土の中に木片が含まれているという内容。その後、県が事業者に確認したところ、不正を認めたため、県は工事の中止を指示しました。

ずさんな工事が明かになり、建設現場の近くに住む人からは、不安の声が聞かれました。

近くに住む人「入梅時期で大雨や台風が来る。(メガソーラーの)山が土砂で崩れてしまう」

現時点で災害の発生には至っていませんが、県は、事業者に対して不正を是正するための計画書の提出を求めています。

県は、去年から今年にかけて県内の太陽光発電設備の建設をめぐり、9件の工事に不正があったとして、工事の中止指示を出しています。

なぜ今…?事業者が記者会見、市に問い合わせ相次ぐ

事業者の会見(7月2日)「福島第一原発事故のあと、福島県が積極的に再エネの方向に転換すると発言し、弊社の方針にのっとったものだったので、我が社もその一助となりたいと福島のプロジェクトを決めた」

7月2日、東京で記者会見を開いたのは、ポルトガルに本社を置く、再生可能エネルギー事業を手がける「EDPRジャパン」です。事業者によりますと、福島市松川町のゴルフ場跡地に大規模な太陽光発電所=メガソーラーの建設工事を進めていて、来年9月の稼働開始を目指すとしています。

「EDPRジャパン」の会見

一方、福島市では吾妻連峰にある先達山で進められているメガソーラーの建設をめぐり、景観の悪化や、土砂災害への懸念の声が高まっていて、去年、「これ以上メガソーラーの建設を望まない」とする宣言を行っています。

福島市環境課・黒須康光課長「実はこの計画(松川町のメガソーラー)は令和2年度からすでに進んでいる事業で、ゴルフ場の跡地を活用してメガソーラーをするということで、すでに承知している事業でございます」

福島市によりますと、今回のメガソーラー建設は2020年からすでに計画されいて、これまで造成工事が進められてきました。しかし、今回、事業者が記者会見を開くということは市側に一切伝えられておらず、「なぜこのタイミングなのか…」と担当者も困惑しています。

事業者の会見後、市役所にはこのメガソーラー開発に関する問い合わせが相次いでいて、一部の業務にも支障が出ているといいます。

福島市環境課・黒須康光課長「ノーモアメガソーラー宣言の指針にのっとって災害、景観の部分については十分配慮して進めていただきたいと思っている」

事業者は、「必要な許認可は全て得ていて、環境影響評価にのっとった形で開発を行う」としています。

「ノーモアメガソーラー宣言」も、宣言前から多数の計画

福島市松川町で建設が進むメガソーラー施設について詳しくみていきます。

事業を行うのは、ポルトガルに本社を置く再生可能エネルギー会社「EDPRジャパン」です。その規模はおよそ60ヘクタール東京ドーム12個分の広さに及びます。

しかし、福島市では去年8月に「これ以上の大規模な太陽光発電所の開発を望まない」とするノーモアメガソーラー宣言をしています。一見すると矛盾しているように見えますが、福島市に聞くと「矛盾はしない」ということなんです。

現在福島市では、予定も含め26か所でメガソーラーの建設が計画されています。今回松川町で建設が進められているのは、赤く示された場所になります。

7月2日に事業者が事業概要を説明する会見を行ったことで、新たなメガソーラーが建設されるのでは?と思われた方もいると思いますが、そうではありません。これは4年前からすでに開発が進められていて、去年、福島市が行った「ノーモアメガソーラー宣言」より前に県の許認可も受けていたものなので、矛盾はしていないということです。

一方で、6月、福島市ではメガソーラー建設が進む先達山で泥水が県道に流れるなど被害が出ていて、市民からはメガソーラー建設そのものへの反対の声が高まっています。事業者側も、県の許認可を得たから良いという姿勢ではなく、丁寧に説明を行うことが求められます。

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