伊藤信太郎(いとう しんたろう)環境大臣は、今年(2024年)5月の懇談で環境省の職員がマイクの音量を絞った問題を受け、水俣病の患者・被害者団体と再懇談しました。
双方の意見の隔たりも浮彫りになりました。
伊藤信太郎 環境大臣「本日は改めて十分時間を確保して、丁寧に意見交換をさせていただきたい」
この再懇談は今年5月、伊藤環境大臣が水俣病の患者・被害者団体と懇談した際、環境省の職員がマイクの音量を絞ったことを受け開かれているものです。
伊藤大臣は懇談の冒頭、団体側が早期の実施を求めてきた不知火海(しらぬいかい)沿岸住民への健康調査について「遅くとも2年以内に実施できるよう準備を進める」と、初めて具体的な実施時期に触れました。
一方で、水俣病患者の認定制度の見直しに対する踏み込んだ発言はなく「最高裁判決でも、現行の認定基準は否定されていない」とこれまでの姿勢を崩さず、団体側との意見の隔たりが改めて浮彫りになりました。
被害者団体の関係者「我々が8年間要望書で言ってきたにも関わらず、何も前向きな回答がなかったという意味で『ゼロ回答』」
要望書を提出していた団体側は、国の姿勢を非難しています。
患者・被害者団体の関係者「環境省は認定という公権力を使いながら、差別を助長しているんですよ。しかも家族ですよ、兄弟ですよ、親子ですよ」
患者団体の関係者「胎児性患者のお母さまが水俣病と認められていないことをご存知ですか。どう思いますか」
伊藤信太郎 環境大臣「胸の痛む思いです」
再懇談は団体側の発言時間に制限を設けない形で行われ、10日と11日にも別の団体との間で実施される予定です。
1日目を終え 伊藤大臣は
1日目の再懇談を終えた伊藤大臣は、水俣病で苦しむ人が自分以外の患者や被害者のため発言をする様子について、涙を浮かべて感想を述べました。
伊藤環境大臣「真摯に人生をかけて情熱を持って行動している。そこに感動しました」
どう見る?きょうの再懇談
今回の懇談のポイントをまとめます。
■健康調査の実施時期・手法
まずは不知火海沿岸地域の住民に対する健康調査についてです。環境省はこの調査を遅くとも2年以内にすることを示しました。
具体的な時期が示されたのは初めてということです。
しかし、団体側は環境省が示した調査は時間がかかるため大規模な調査に向いておらず、地域を全体的に調査できるのか、懐疑的な見方をしています。
■水俣病患者の認定基準
見直しを求めていた団体側は「ゼロ回答」としていました。この点について環境省は基準変更には言及せず、前進はありませんでした。
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