(キャスター)
塩田さんが2期目の当選を果たしましたね。

(記者)
塩田さんが草の根に組織戦を加えた盤石の体制で、現職の批判票や浮動票の取り込みを狙った米丸さんと樋之口さんを退けました。知事選で現職が再選するのは2012年以来、12年ぶりです。

(キャスター)
今回は波乱含みの選挙戦となりましたね。

(記者)
これまでの知事選で現職を推薦していた県医師連盟が、告示直前に「救命救急センターの指定などを巡り、政策協定にそごが生じた」として塩田さんの推薦を取り消し、米丸さんの応援に回る異例の事態となりました。

医師連盟の池田琢哉委員長が米丸さんの集会で塩田さんを批判する場面も目立ちましたが、結果には反映されなかったようです。池田委員長は昨夜、今回の選挙を振り返り、悔しさをにじませました。

(県医師連盟 池田琢哉委員長)
「何とかしようと思ったが、できなかった。県民に心が通じなかったのが非常に残念。(Q.塩田さんに対して言葉をかけるとしたら?)私たちの意見を十分に聞いてほしい」

(キャスター)
塩田さんを推薦した自民党の裏金事件の影響はどうみていますか。

(記者)
塩田さんは、野党の国民民主党や国民民主党の支持母体の「連合鹿児島」の推薦も受けたことから、専門家は、裏金事件が与えた影響は最小限にとどまったのではないかとみています。

(鹿児島大学 渡邊弘准教授)
「自民党直結の候補というとらえ方を県民がしていたかどうか。塩田さんと裏金問題とは切り離して考えるというような考え方が、県民にはあったのかもしれない」

(キャスター)
今回は県政の継続か、刷新か。塩田さんの県政運営への評価が問われましたが、結果にはどう表れたのでしょうか。

(記者)
塩田さんは米丸さんの出身地の姶良市以外のすべての市町村でトップに立ちました。3人の得票率をみると、塩田さんが59.1%、米丸さんが31.6%、樋之口さんが9.3%でした。

塩田さんの陣営関係者は「米丸さんと樋之口さんをあわせた票の数を塩田さんが上回れば、1期目の県政運営が信任された目安になる」とし、塩田さんは6割近い得票について、「4年間取り組んできたことに一定の評価を得られた」と話していました。

(キャスター)
塩田さんが再選した背景には、どんな勝因があげられますか。

(記者)
MBCがきのう行った出口調査では自民党支持層の78%が塩田さんに、「支持政党なし、または分からない」と答えた無党派層の46%が塩田さん、41%が米丸さんに投票しました。

推薦を受けた自民・公明・国民に加え、無党派層の票も手堅くまとめたことが塩田さんの勝因の一つと言えそうです。

また、塩田さんは男性の回答者の58%、女性の回答者の57%の支持を集めたほか、幅広い年代からの支持が厚かったことも大きなポイントとなりました。

(キャスター)
さまざまな県政の課題がある中で、有権者はどんな政策に注目したのでしょうか。

(記者)
MBCの出口調査で「次の知事にいちばん力を入れてほしい政策」をたずねたところ、最も多かったのは「経済・産業振興」の31%で、「教育・子育て」28%、医療・福祉」22%と続きました。

米丸さんが反対した「新総合体育館整備への対応」は4%、樋之口さんが運転延長に反対した「川内原発への対応」は6%にとどまり、十分に争点化できなかったようです。

一夜明けてきょう、塩田さんに聞きました。

(塩田康一氏)
「理解はもらえているのでないか。ただ県民に原発に対する不安はあると認識している。九電や国に対しても安全確保最優先ということはこれまで通り、県としても専門委員会などのアドバイスももらいながらしっかり努めたい」

(キャスター)
投票率は前回を下回りましたね。

(記者)
投票率は44.76パーセントで、県政史上最多の7人が立候補した4年前の前回49.84パーセントを5.08ポイント下回りました。

現職の塩田さんに複数の政党が相乗りして選挙戦が盛り上がらなかったことや、有権者の県政に対する関心の低さが現れた結果だといえます。

投票率が下がった背景について、渡邊准教授は塩田さんに批判票を投じる人が選挙に行かなかったのではないかと分析しています。

(鹿児島大学 渡邊弘准教授)
「塩田さんの実績を評価するということで、消極的に評価していた人たちが投票に行かなくても大丈夫だと判断した」

(記者)
塩田さんは、米丸さんと樋之口さんを引き離して当選しましたが、有権者の2人に1人は投票に行かず、塩田さんが獲得した33万7000票は、県全体の有権者128万4000人の4分の1ほどで、求心力を高められるかは不透明だという見方もあります。

人口減少や物価高への対応などさまざまな課題が山積する中、鹿児島のリーダーとしての真価が問われるのはこれからです。

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