鳥取市にあるJA系のスーパー、トスク本店が閉店したのは去年9月。実はテナントとして入っていた店のいくつかは閉店後も営業を続けていました。
テナント退去の期限は先月末。最後まで営業していた化粧品店も長い歴史に幕を降ろしました。母と娘で見送った最後の店じまいです。

先月30日、日曜日の朝、ほかの店は既にたたまれてがらんとした建物の中で、この店の最後の営業が始まりました。

JA系のスーパー、トスク本店は去年9月に閉店しました。建物の解体が決まり、テナントも退去を余儀なくされる中、期限一杯の最後まで営業していたのが「おおはら化粧品店」です。

店をしていた母親を手伝ってここで働き始めて20年程になる大原友美さん。

おおはら化粧品店 大原友美さん
「まだ今の時点ではいつも通りの気持ちでやっていますけど、時間が経つにつれて寂しくなるかもしれません」

通ってくれるお客さんに励まされ、おおはら化粧品店はここを出てほかの場所で店を続けることにしました。新しい店に移るため、まだ店内にある商品を片付けなくてはなりません。

最後の営業日は、引っ越しの荷造りに追われることになりました。

「入るかな…ムリかな、ムリだね」

この店を始めたのが母親の真弓さん、71歳になります。

農協に就職して職場となったのがトスクになる前の生活センター。やがて直営の化粧品売り場ができるとそこの担当となりました。

そして真弓さんは同じ店内で独立して自分の店を開くことにしました。

おおはら化粧品店 大原真弓さん
「昭和54年かな、11月に自分でやりだして45年」

就職して以来ずっと、真弓さんが働く場所はこのトスクの店の中でした。

おおはら化粧品店 大原真弓さん
「本当にね、ここの従業員さんとかみんな、お客さんとも仲良くなるしね、本当に人が助けてくださっだですね、本当にありがたかったです」

真弓さんが働き始めたのは生活センターができて数年経った頃。多くの買い物客で賑わった時代を知っているだけに、トスクの閉店には寂しさしかありませんでした。

商売もやめようかと悩みましたが、馴染みのお客さんの声に励まされ決断しました。

おおはら化粧品店 大原真弓さん
「元気かとか言って来てくださるし、買いに来てくださる、そのたびに続けないといけんかなって思って」

おおはら化粧品の営業中を知らせる掲示が取り外されました。

店を切り盛りする母を見てきた友美さんは…

おおはら化粧品店 大原友美さん
「本当に強い母なので、家でも仕事でも先頭を切って走っていたので、すごいなと思います。よく続けてこられたなと、40年以上」

店のシャッターを下ろします。半世紀近くも1日の終わりにしていた店じまいも、この日が最後の最後となりました。

店の灯りが消えました。

おおはら化粧品店 大原真弓さん
「ありがとう、でも悲しい…」

おおはら化粧品店 大原友美さん
「来続けていただいているお客さまに対して、新しい店で変わらず頑張りたいと思います」

おおはら化粧品店 大原真弓さん
Qお母さんは?「(娘に)任せます」

おおはら化粧品店の新しい店は旧トスクから歩いて数分の大通り沿いです。

閉店の翌日、友美さんが開店の準備に追われていました。母親から「任せます」と言われた友美さんですが…

おおはら化粧品店 大原友美さん
「ただまだ母の力もたくさん必要だと思うので、全て任されるのではなく、2人で協力しながらがんばっていきたいと思います」

真弓さんと友美さん、親子2代で紡いできた店の歴史は、このこじんまりとした店に引き継がれます。既に常連のお客さんへの対応は始めていて、8日、新しい「おおはら化粧品店」としてオープンを迎えます。

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