オウム真理教が引き起こした、松本サリン事件から丸30年が経ちました。当時多くの若者が教団の元で犯行に手を染めましたが、いま、そのオウムの後継団体に若者が入信しトラブルになるケースが起きています。その実態とは。

“オウムを知らない”若者集めるオウム後継団体 いまも続く「麻原信仰」

名古屋の街で若者たちに聞きました。

Qこの人物を知っていますか?
(18~20歳)「知っています」
(18歳)「オウム真理教」
(19歳)「麻原彰晃」

多くの若者が社会を揺るがした”あの宗教団体”や”教祖”のことを知っていた一方で…

(20歳)「えー分からないです。印象…根はいい人そう」
(17歳)「まったく分からないです。サリン事件も?まったく分からないです」

15歳から22歳までの50人のうち9人は、全く知りませんでした。そしていま、こうした若者たちがオウム真理教の後継とされる団体に入信し、トラブルになるケースが相次いでいます。

独自撮影した「アレフ」の施設内部 祭壇には松本元死刑囚の写真

いまから30年前の1994年6月27日に起きた、松本サリン事件。

その9か月後の地下鉄サリン事件。

日本の犯罪史上最悪の無差別テロを引き起こしたオウム真理教の教祖、麻原彰晃。本名=松本智津夫元死刑囚。2018年に死刑が執行された後もその影響力は続いています。

これは、死刑執行後にCBCが独自に撮影したオウムの後継団体「アレフ」の施設内部の映像です。祭壇に松本元死刑囚の写真が飾られ、本棚には元死刑囚の著作がびっしりと並んでいました。

公安調査庁によると、アレフなどオウム後継団体の信者は、現在全国に約1650人。オウム時代の7分の1ほどですが、いまも年間70人前後の新規入会が確認されていて、その大半が事件後に生まれた20代の若者です。

オウムと同じアレフの”出家制度” 「子どもが音信不通に」相談相次ぐ

神奈川県の住職で「日本脱カルト協会」の顧問を務める楠山泰道さん(76)。

オウムやアレフ信者らの脱会を手助けする活動を30年以上続けています。

(楠山泰道さん)
「これがアレフの宗教理念。アレフに入らなければ見ることはできない」

これは楠山さんが元信者から入手したアレフの内部資料をコピーしたもの。

(楠山泰道さん)
「一番の問題は、出家しなければ"参政権"がない(方針決定に関われない)ということが書かれている」

アレフにおける出家とは、社会との関わりを一切断って心と体、そして財産を教団に差し出すことで、かつてのオウムと全く同じです。

(楠山泰道さん)
「出家することで親と断絶してしまう。親に会わせないということが大きな問題」

これにより、出家した家族と”音信不通になった”という相談が近年増えているといいます。

最近のアレフはSNSなどで“正体隠して”若者を勧誘

(アレフ信者の親)
「普通の親子関係だったのに出家したら音信不通に。どうして?」

(楠山泰道さん)
「カルトのテクニックっていうのは社会と切り離すことなんだよね。まず一番切り離しやすいのはいつも反抗する親、家族。その次が友達。で全部に切り離されたら生きれる場所どこって?カルトしかないっていう。そういう状態を作り上げることがカルトのテクニックなんですよ」

アレフ信者の親)
「数年間連絡が取れていません。どうすればいいですか?」

(楠山泰道さん)
「アプローチを送ることが大切。断絶しているとはいえ恋しさも残るでしょうから、そこをどんどんついていくしかないと思うんです」

最近のアレフはSNSなどを使い正体を隠して若者たちを勧誘することが多く、「サリン事件は陰謀だ」など洗脳めいた説明をすることもあるといいます。

(アレフ信者の親)
「洗脳を解くにはどうすればいいですか?」

(楠山泰道さん)
「自分の頭で考えさせること。それから社会の中でしかできないこと(を教える)。例えばオウム(アレフ)の中で修行しても、その中で終わっちゃたら人の救済にはならないわけですよね。人を救いたいと言って修行してるんだったら外に出て人を救わなきゃ本当に救うことにはならないじゃないですか」

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