東京・築地市場の豊洲移転の反対運動で先頭に立ってきた「築地女将(おかみ)さん会」の新井真沙子さん(81)が4日午前、中央区の築地場外市場付近に立った。「築地再開発 市民参加で再検討を」と書かれた看板を立てて、7日投開票の都知事選を念頭に「次の都知事は、都民の声を聞く人になってほしい」と訴えた。

「都民の声を聞き続けられる人を都知事に」と話す築地女将さん会の新井真沙子さん(左)と支援する鈴木理英子さん=7月4日午前、東京都中央区で(望月衣塑子撮影)

1935年に開場した築地市場は老朽化し手狭になったため、都は2001年、江東区の豊洲地区にある東京ガス工場跡地への移転を決めた。当初、豊洲に16年11月に移転する予定だった。 16年8月に知事に就任した小池氏は「築地の移転はいったん立ち止まり、みんなが納得する結論を出したい」とし、移転を延期した。 新井さんらによると、小池都知事は17年春、神田明神の祭りに法被姿で登場。築地女将さん会代表の山口タイさん(81)らを前に指でOKマークを作り「大丈夫よ」などと話していたという。 だが17年6月、小池氏は記者会見で「築地は守る、豊洲は活かす」のキャッチフレーズとともに、築地市場の豊洲移転と、市場跡地に商業施設を整備する方針を発表した。基本方針では、豊洲に加え、築地にもう一つ市場機能を持った施設を造るとしていた。 新井さんは「タイさんは小池氏の言葉を信じていたが、その後、何度申し入れ書を出そうとしても受け取ってもらえず、陳情に行っても会ってくれず、失望だけが募った」という。 築地市場跡地の再開発では今年5月、約5万人収容のスタジアム、ホテル、国際会議場などの建設案が示されたが、市場機能はない。 新井さんは「神宮外苑や都立葛西臨海水族園の再開発など、都には考えなおすべき問題が多々ある。都知事になる人は、都民の声に誠実に耳を傾け続けられる人になってほしい」と話した。(望月衣塑子) 

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