新潟で暮らす移住者たちを追ったNターンズ。
今回ご紹介するのは大好きなお風呂に導かれ、湯沢町にやってきた共同浴場の番頭さんです。移住で見つけた幸せな暮らしとは?
「僕がお風呂でまず好きなのが、やっぱり来たときと帰るときに表情が違うのがすごい好きで、お風呂屋さんをやってて、いいなと思うところなんですけど…」
こう話すのは2020年、新潟県湯沢町に移住し、江神温泉共同浴場の番頭を務めている門田和也さん(34)です。
門田さんは大のお風呂好き。
大学時代にその魅力に目覚め、就職先は“スーパー銭湯”の運営会社でした。
門田和也さん
「自分が理想とするのを何か作りたいじゃないですけど、何か提供したいなと思って、そういう面でもお風呂のことを仕事にしようと」
その後、田舎暮らしを求め、福井県の地域おこし協力隊に。お風呂の魅力をいろいろな人に広めるため、銭湯で音楽ライブや落語など、精力的にイベントを企画していました。
3年の任期が近づき、次の働き口を探していた時のこと。湯沢町の知人を通じて、この共同浴場の求人を知り、すぐに手をあげたのです。
門田さんにとって理想のお風呂とは?
門田和也さん
「ただお風呂に入って済ます場所じゃなくて、来て僕と話をするのもそうですけど、行くのがちょっと楽しみになると、またお風呂への感じ方が全然違うと思うので、楽しみになるような場所にしたいなと」
門田さんが管理人を務めるのは、JR越後湯沢駅から歩いて3分に位置する江神温泉。「こんにちは~」と開店と同時に、常連さんが次々とやってきます。
常連さん
―よくいらっしゃるんですか?「はい、毎日」
「いいお風呂ででしたよ。お喋りばっかりしてて…」
―お喋りも楽しかったですか?「そうそう。うちがじゃ1人だから」
江神温泉共同浴場は、昭和13年(1938年)創業。地域住民で組合をつくり、営業をはじめました。以来、まちの社交場として地域に愛されています。
長い歴史の中では、新入りの門田さんもすっかり地域の日常に溶け込んでいるようです。
常連さん
「お兄ちゃんなんて友達と同じ。聞いてらっしゃい。ね!お兄ちゃん友達だよね!」「今度飲みに行きましょうか!あそこで」
門田和也さん
「いいっすね!」
―門田さんはどんな管理人?
「えっとね、親しみを持てる人柄っていうのかな、一言で言うと」
門田和也さん
「言われると言われたで照れますね…」
人と触れ合いも温かい共同浴場。
門田さん、以前とは違った価値観が芽生えています。
門田和也さん
「こっちに来てからは、ある意味“タイミングよく”コロナウイルス禍で、そういうこと(イベント)ができなかったんです。そういうことをしてなくても、何か必要とされている世界がここにあって、『綺麗にしてくれてありがとう』とか何かそういう一声でもそうなんですけど、この地域の場所で働いて地域の中で溶け込めればそれで十分なんだなって思えたのは、こっち来てからの気づきかなって」
湯沢町に移住して4年。門田さんは雪国の生活にも慣れてきました。楽しんでいるのは、雪の上をスケートのように滑るスキースケート!
門田和也さん
「仕事前とかに滑るので、身軽にちょっと滑りに行きたいってときにスキー板だといろいろ持って大変なんで、こういう短い方で滑っています。フィギュアスケートっぽく連続で回転するというか、技みたいなのに挑戦できるのもなんかいいなと思っているところ」
ウインタースポーツの話題で、お客さんとの会話も弾みます。
「好き」を「仕事」にした人生です。
門田和也さん
「移住っていうのは、何か自分の価値観のすり合わせみたいなところだと思っていて、自分が合う場所探しみたいな感覚だと思っているので、相当に僕、今の人生の満足感が高くて、他に何か望むものあるかな…くらい高くて。だからホント、今幸せっすね、普通に」
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