夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、法律婚や事実婚の男女10人が元の姓のままで結婚できることの確認や、1人当たり50万円の損害賠償などを国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、東京地裁であった。原告は意見陳述で「夫婦同姓を強制する裏にある不安、苦しみ、自己喪失感、悲しみ、諦めに真正面から向きあってください」と訴えた。国側は争う姿勢を示した。(加藤益丈)

◆訴訟団による3回目の提訴

第1回口頭弁論のため東京地裁に向かう原告ら=東京・霞が関で

 2011年から訴訟を続けている選択的夫婦別姓訴訟団による3回目の提訴。  原告のうち3組の事実婚カップルが意見陳述した。姓を変えないために事実婚を選んだ東京都の黒川とう子さん(51、仮名)は「改姓したら自分でなくなる感覚があり、法律婚を諦めるしかなかったが、さまざまな場面で不利益を受けてきた。名前を失いたくない思いと引き換えに、いつまで薄氷の上を歩き続けなければならないのか」と語った。  33年前に結婚し、旧姓を通称使用していた長野県の内山由香里さん(56)は現在、事実婚状態。「通称は職場で使えたが、給与明細は戸籍名。銀行口座の名義を変えないと給与が振り込まれなくなった。肝心な時に通称は全く使えず、生来の名前が本当の名前でないことを痛感し、喪失感を突きつけられた」と、選択的夫婦別姓の必要性を訴えた。  一方、国側は答弁書で「原告の訴えは、新たな法制度の創設を求めるに等しい。司法審査に適さず、不適法」などと主張した。詳しい主張は9月20日の次回口頭弁論で明らかにするという。 

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