長野県は全国有数のハチミツの産地ということをご存じでしょうか。
生産量は全国4位、蜂の飼育戸数は1位なんです。
そんな長野県に、異分野から養蜂の世界に飛び込んだ2人の移住者がいます。
花によって味わいも香りも大きく変わるというハチミツの魅力を届けようと奮闘しています。


「きょう31度だって31度」
「きょう?」
「やばいな」
「やばいよ」
「ばてるな」

上田市で一緒に養蜂業を営む2人。

吉成隼(よしなりじゅん)さん37歳は、前の仕事で栃木から転勤し、別當一樹(べっとうかずき)さん32歳は、コロナ禍で田舎暮らしを決め、埼玉から移住してきました。


吉成さん:
「飲み屋で会いました。居酒屋で飲んでてお会いして何しているの?みたいな感じで。彼、養蜂始めていたので、おもしろそうだなっていうので、ちょっと手伝いにいって、マジでこんな肉体労働するとは思わなかった」
別當さん:
「僕は建設業だったから多少体力はあったすけど、こっち(吉成さん)コールセンターなんで初年度はすぐばててたっすね」
「今畑やらなくなっちゃった人が急増していて、埼玉ですらかなりあるんですよね。そういったところをビジネス化できるのって養蜂が強くて」

自然を生かした仕事をしたいと3年前に別當さんが養蜂を始め、その後、吉成さんが参加。

主に耕作放棄地を借りて上田市内6か所に養蜂場を設け、120の巣箱でおよそ100万匹のセイヨウミツバチを飼育しています。


別當さん:
「だいたいハチミツって、上の階にたまってたりするので、この上の階のハチミツを一回抜きます」

今は採蜜シーズンです。

花が咲く春から初夏まで毎日、ハチが集め巣にため込んだ蜜を採集しています。

記者:
「そもそもハチってなんのためにハチミツ集めているんですか」
別當さん:
「冬場、あと夏場、花が全く咲かないので、その時用にハチミツためて自分たちの食料とする」

ハチが保存食として蓄えているハチミツですが、花から採れたばかりの蜜は水分量が多く、糖度は30%ほど。

そのままだと発酵してお酒のような状態に変化し、保存がききません。

吉成さん:
「ハチが自分たちの羽でばたばたさせて乾燥かけて水分を抜いていく作業をするんですよ。いわゆる扇風機みたいな役割で」



ふたりが生産に取り組むのは、無添加、非加熱の天然ハチミツです。

日本養蜂協会の基準で、商品として出荷するために必要な糖度は78%以上と決まっています。

糖度が一定以上になるようハチの生態を見極め、今は10日ほどのサイクルで6か所の養蜂場を回り、蜜を搾っているといいます。


別當さん:
「遠心分離機を回してハチミツを実際とっていく」
「今でいうと、ヘアリーベッチという、そこに咲いている紫色の花がメインで入ってきていると思いますね。透明系であんまり癖が少ないクリとかだと、真っ黒いハチミツが採れますし、けっこうハチミツの面白い部分はそこかもしれないですね。花の種類によって味とか香りが全然違う」

ハチミツは、様々な花から蜜をとる百花蜜が一般的ですが、ふたりが力を入れるのは、一種類の花から蜜を集める単花蜜です。


ヤマザクラやリンゴ、フジなど、10種類を販売しています。

別當さん:
「普段食べているハチミツと全く味が違うので、そういった所を知っていただければハチミツの可能性が広がるのかなと思って。4月なんかはまだまだ寒いので、そんなに収穫量も増えないし、やっぱり5月6月ここがメインなので、なんとかハチさんにも頑張ってもらって、僕らも倒れないように頑張って、とにかく収穫をするという感じですね」



炎天下での採蜜は体力勝負。

おやつを食べて一休みです。


記者:
「ふたりともハチミツはよく食べるんですか?」
吉成さん:
「そうですね、さすがに毎日食べます、説得力なくなっちゃうので。これロールケーキ」
記者:
「甘いやつにさらに」
吉成さん:
「女子みたいな食べ方してますけど、僕らは一番おすすめしているのはやっぱり生のまま食べるというのがいいかなと。酵素も栄養素もそのまま生きている状態なので、加熱しちゃうとその酵素が死んじゃうんですよね」
記者:
「スーパー贅沢ですね」
別當さん:
「養蜂家の特権かもしれないですね」
「おいしいですね」

3年前に異分野から養蜂業に挑んだふたり。

今では年間10トンのハチミツを生産し、綿半など県内外のスーパーや土産物店に販路を広げています。


吉成さん:
「仕事自体は、めちゃめちゃ大変なので、こういう炎天下の中で長袖着て網かぶってやらなきゃいけないので。でも色んなイベントに出店させていただいたりとか、美味しかったよとかそういう生の声を聞くと、やっててよかったなっていうのはすごい感じます」


別當さん:
「養蜂業をやられてる方がどうしても高齢の方が多くて人が少なくなっちゃうので、採れる量も少なくなると思うので、ビジネスとして成立するんだよということを認知してもらって、より多くの若い方が養蜂業に興味をもっていただければ」

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