シャオシャオ(左)とレイレイ

 上野動物園(台東区)で2021年6月に誕生した双子のジャイアントパンダ、シャオシャオ(雄)とレイレイ(雌)が、23日で3歳になる。コロナ禍のまっただ中に誕生し、飼育と公開の両面で影響を受けてきた2頭だが、順調に「大人への階段」を上っている。  6月14日のパンダ舎。展示室のガラス壁の前に座り、ムシャムシャと竹を食べ続けるレイレイに対し、食べ終えたシャオシャオは歩き回ったり、首を回したりしていた。

①エサを食べるシャオシャオ ②歩き回るシャオシャオ ③④エサを食べるレイレイ

 出生直後に体重124グラムだったシャオシャオは81.4キロ、146グラムだったレイレイは84.6キロに成長した。副園長の冨田恭正さん(59)によると、習性として子どものパンダは食後しばらく動き回り、成獣になるとすぐ寝るが、2頭は最近すぐ寝ることが増えた。まだ成獣ではないが、「大人っぽくなってきた」という。

◆「死んでしまう」という緊張感だった

 人の往来が制限されたコロナ禍に生まれた2頭。同園では中国の飼育スタッフに遠隔で相談しながら、日本人スタッフだけで育ててきた。冨田さんは「一歩間違えると死んでしまうという高い緊張感だった」と振り返る。

生後3日のシャオシャオ(左)と生後5日のレイレイ=いずれも提供元=2021年06月、(公財)東京動物園協会

 22年1月に事前抽選による一般公開が始まったが、新型コロナの感染拡大で臨時休園に。3月の観覧再開後は、事前予約をした人たちが開園前から長い列を作った。現在は予約なしで、並んで見ることができる。

◆「ひとり部屋」でひとり立ち

 野生のパンダは単独で暮らし、1歳半~2歳で親離れする。2頭は、23年3月に母親シンシンと別居した後も寄り添って眠るなど仲良く暮らしてきた。ただ、じゃれ合いが激しくなり、けがをする恐れがあるとして、今年4月から別室で暮らすようになった。

2023年06月19日、2歳になる直前の双子。竹を握るレイレイ(左)とシャオシャオ=台東区の上野動物園で(公財)東京動物園協会提供

 北海道旭川市から見に来たという保育士の石川厚子さん(52)は「無事に育ってくれていてうれしい。寝転がったりご飯を食べたり、結構動いていてかわいかった」と興奮気味に話した。

ジャイアントパンダのシャオシャオとレイレイについて話す上野動物園の冨田恭正副園長

 冨田さんは「たくさんの人に応援してもらえてありがたい。保全のため、次の世代を担う候補として育っていってほしい」と願う。なお、双子パンダの所有権は都と中国野生動物保護協会の協定により、中国にある。冨田さんは「時期は未定だが、いつかは中国に帰ることになる」と話す。 ◇  ◇

◆松坂屋上野店でファンミーティング!?

 パンダ愛を前面に押し出す松坂屋上野店では、双子の3歳を祝し、限定品や特別デザインの商品を集めた「ハッピーパンダフルデイズ」を27日まで開催している。

「上野案内所」のスタッフが手作りしたパンダの誕生日を祝うディスプレイ(上)、2頭のパンダをモチーフにした「双子パンダ 海鮮バラちらし」(左)、マシュマロを使って双子のパンダを表現した「パンダのショートケーキ」(右)

 寄り添う双子をマシュマロで表現したケーキや、笑顔のパンダが並んだバラちらしなどを販売。巨大な屋外広告も掲出している。パンダのオリジナル商品などを扱うテナント「上野案内所」では、店長の桜井智子さん(39)が「みんなでお祝いしたい」とケーキのオブジェを手作りした。  上野店の広報担当者は「動物園の帰りに百貨店に立ち寄るお客さまが多く、ファン同士のつながりも生まれている。誕生日をお祝いして上野の町をさらに盛り上げたい」と話す。 文・鈴木里奈/写真・池田まみ、由木直子 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へメールでお願いします。 

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