叡王戦5番勝負の最終局が20日甲府市の常磐ホテルで行われます。
決戦の舞台に一足早く伺ってきました。

甲府市湯村にある常磐ホテル。
「甲府の迎賓館」とも言われる格調高いホテルですが、将棋や囲碁の世界では別の異名もあります。



それは…「決着の常磐ホテル」

タイトル戦の決着が、このホテルでの対局で決まることが多いことが由来です。

その歴史に新たな1ページが…



西垣友香キャスター:
「史上初の偉業を成し遂げた藤井聡太八冠。2勝2敗で迎えた叡王戦の決着が、ここ常磐ホテルでおこなわれます」

去年10月、将棋界の全てのタイトルを独占した藤井聡太八冠。

しかしその一つ、叡王戦では小学生時代に藤井八冠に勝利し「藤井を泣かせた男」の異名を持つ伊藤匠七段と2勝2敗の5分。

20日の対局が、タイトル防衛か八冠陥落かの剣が峰となります。

常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「非常に全国的にも注目されるビックイベントでもありますので、準備については抜かりなく、ただいま進めているところでございます」

去年の八冠達成時にも最終局の場所となっていた常磐ホテル。



直前の対局で勝敗が決したため、歴史的快挙の舞台にはなりませんでしたが、これまで数多くの名勝負を見守ってきました。



西垣友香キャスター:
「決着の舞台にふさわしく、こちらには将棋にちなんだ展示コーナーもあります。将棋ファン垂涎の品々です」

「名人の小径」と題された場所を、30年に渡り常磐ホテルでの対局を見守ってきた小沢さんに案内してもらいました。



西垣友香キャスター:
「こちらは山梨県出身、米長邦雄永世棋聖の色紙ですね。なんて書かれているんでしょうか?」
常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「お弟子さんにも聞いてみたら『三年の蓬』だそうです」
「蓬というのが聞いた話によりますと、3年 生き永らえられている蓬は珍しいんだそうです。そんなことで揮ごうの時に三年の蓬と書いてらっしゃったようですね」

また棋士として初めて国民栄誉賞を受賞した羽生善治現将棋連盟会長の写真からは、勝負師の風格も感じられます。


常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「姿勢がすごくきれいですね、揃っている。4年の歳月のずれがあるんですけれど、ずっと変わらない姿勢で初手を打っている。美しいですね」

なかでも小沢さんのおすすめはタイトル戦のポスターです。

モノトーン調のアップで表現されたポスターについては…。

常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「最近では専用のセッションを組んで撮影しているみたいですよ。これなんて前回の叡王戦のポスターですが、私も瞬間的にビートルズのジャケットを思い出してハーフシャドウ、ビートルズみたいと思ったんです」


一方、今回の叡王戦のポスターは1本の満開の桜の木を背景にスーツ姿で佇む2人がデザインされています。

常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「特に今回に関しては藤井さんと伊藤さんというフレッシュな対決ですから、スーツのCM見たいですよ。若い二人ならではです」

そして今回注目なのは…



常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「こちらに藤井さんの色紙ありますね。他の先生よりも若干目立つ感じで展示させております。飛翔、本当に今にも色紙ごと飛び出しそうな力強いよね。まさに飛び立っていますよね。飛びすぎて見えなくなるくらい」



常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「(令和元年)まだタイトルとる前の藤井先生がお越しいただいたので、ちゃっかりサインを頂きました。かなり貴重です。藤井さんの頭の所、七段となっていますが今で言うと叡王ですとか竜王とか名人とか入るんですけれど、タイトルとる前なので七段。段位で書いてるのは貴重だという事になっていますね」

当日新たなサインは?



常磐ホテル 小沢行広営業部長:
「こればっかりは対局勝負なので何とも言えないが、可能ならいただきたいという心持ちだけは…。ただそれ言いだせるかな。笑」

西垣友香キャスター:
「熱戦が期待されますが一方で将棋では勝負メシも注目されます」

対局の最中に棋士が食べる昼食、いわゆる勝負メシ。

常磐ホテルの対局ではホテル内のレストランのメニューから選ばれます。



西垣友香キャスター:
「そして藤井さんが今回勝負メシで何を選ぶか注目されますが、ちなみに前回常磐ホテルで召し上がったのが、調べたところによると、このカレーうどん御膳なんです」



過去唯一、藤井聡太八冠が常磐ホテルで対局を行った2021年に食べたとされる常磐名物カレーうどん御膳です。

西垣友香キャスター:
「上品な味わいが一番印象的で、いろんな深みが後から後から。辛さが控えめでスパイスとダシの風味豊かな香りがつるつるの麺とうまく絡まって美味しいですね」「スパイスやダシの風味、複雑な深みのある味わいが楽しめるこのカレーうどんのような様々な局面がみられる名勝負期待したいです」



将棋界の歴史に刻まれるであろう20日の決戦。
新世代の若き棋士同士の対局を「決着の常磐ホテル」は待っています。

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