自分や家族などの「歯ぎしり」、気になったことはありますか?
実は眠っているときだけでなく活動しているときに無意識に歯ぎしりが起きていることもあります。ひどい場合には今ある歯を失ってしまうことにも。原因と予防法を取材しました。

新潟市中央区の日本歯科大学新潟病院。ここに入るのが「歯ぎしり外来」です。
「歯ぎしり外来」で医長を務める水橋史教授は、歯ぎしりは『眠っているとき』と『起きているとき』の2種類があると話します。

「一般的には歯をこすり合わせてギリギリと音がする歯ぎしりのイメージがあると思うんですけど、その他にもぐーっと食いしばったり、カチカチという瞬間的にカンカンと音をさせるのも、歯ぎしりに入ってきます」

集中したり重いものを持ったりするとき、無意識に歯を食いしばるのも「歯ぎしり」に含まれ、それ自体は病気ではなく自然に起こるものという位置づけです。
ただ、ひどい場合には問題を引き起こすこともあると水橋教授は話します。

日本歯科大学 新潟生命歯学部 水橋史教授
「歯への悪影響としては、歯がぐらぐらしてきたり歯が折れたり、筋肉が活動し続けることで頭痛、睡眠障害などの全身の影響が出てくることもある」

歯ぎしりをすると、成人男性では1本の歯に28キロから最大で100キロもの力がかかります。
そうすると、歯の柔らかい部分が「くさび状」に削られ、知覚過敏を引き起こしたり、歯が折れてしまったりすることもあるのです。

では、なぜ歯ぎしりが起こるのか。
睡眠時の場合はストレスのほか飲酒・喫煙といった生活習慣などが主な要因で、発生率は大人で5~8%ほど。一方、起きているときの歯ぎしり=食いしばりは多くの人に見られるといいます。

日本歯科大学 新潟生命歯学部 水橋史教授
「ほとんどの人が歯科治療していると“痕”がついていて、全く意識なく言われて『歯ぎしりしてたんだ』と感じる人も結構いる」

その“痕”というのがこちら。
舌の外側がでこぼこしているのが分かります。食いしばりによって下の歯の痕がついている状態です。
さらに頬の粘膜の線です。これも食いしばりによって頬の粘膜が上下の歯に挟まれてできる痕です。

歯ぎしりに特効薬はありませんが、予防や軽減するために意識するといいポイントを聞きました。

日本歯科大学 新潟生命歯学部 水橋史教授
「“大きく口を開けてゆっくり閉じて”というのを何回か繰り返して、口を開けることで閉じるとき・噛みしめるときの筋肉を緩めてあげる。集中した後とか疲れているときほど時々口を開けて緩めるといいかと思います」

また、睡眠時の歯ぎしりを改善するためには寝る前のスマートホンなどの使用を避け、リラックスできることをして過ごすことが大事だといいます。

水橋教授によりますと、歯ぎしり外来には大人だけでなく子どもも来るそうです。
睡眠時、「ぎりぎり」という歯ぎしりの音で親が気付き、相談に来るケースが多いといいます。
ただ、子どもの場合は歯の生え始めや生え変わりの時期でかみ合わせが安定していないために起こることも多く、その場合は歯ぎしりは次第になくなっていくということです。

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