世界遺産の姫路城。外国人観光客の入城料がおよそ4倍になるかもしれません。有名観光地の二重価格は、受け入れられるのでしょうか。
■訪日客だけ価格4倍?背景には「グローバルスタンダード」と「城の保存費用」
良原安美キャスター:
姫路市の清元秀泰市長は、現在、国籍問わず・18歳以上は1000円(約7ドル)の姫路城の入城料を、「外国人観光客に対して、入城料の値上げを検討している」と16日の会議で発言しました。外国人観光客は現在の約4倍の30ドル、姫路市民は現在より少し値下げした5ドルにするとしています。
17日、清元市長は「憩いの場として使う市民と、世界遺産目的の外国人観光客では違う。値段が違うのはグローバルスタンダード」だと話しました。
姫路市としては、城の保存費用などを算定し、1年ほどかけて入城料について検討していくということでした。
「城の保存費用」そして「グローバルスタンダード」とはどういったものなのでしょうか。
姫路城の維持費用は2022年度には約12.7億円。職員・ガイド・清掃員など約120人が働いており、人件費に約4億円、修繕費にも約4億円がかかっています。
“大規模修理”をするときもあり、2009年には約50年ぶりの平成の大修理が行われました。外壁の塗り替えや耐震工事などが行われ、総工費は約24億円でした。
清元市長は「メインタワーに対するオーバーツーリズム問題もある。木造建築物を大勢の人が登ると壊れやすくなる」と、人件費や修繕費など様々なお金がかかることがわかります。
■「グローバルスタンダード」世界の二重価格の設定は?
世界の二重価格はどうなっているのでしょうか。▼「自国民と外国人」で価格を分けるパターン、▼「地元住民と観光客」で価格を分けるパターンがあるようです。
【自国民と外国人】
インド・タージマハル:
インド人は約90円、外国人は約2100円
エジプト・ピラミッド:
エジプト人・アラブ諸国の人は約200円、外国人は約1800円
【地元住民と観光客】
ハワイ・ダイヤモンドヘッド:
地元住民は無料、観光客は約800円
ニューヨーク・メトロポリタン美術館:
地元住民などは無料(任意の金額)、観光客は約4700円
井上貴博キャスター:
姫路城の“約4倍”という案が妥当なのかという議論はありますが、個人的には値上げに賛成です。「外国人料金を値上げ」と打ち出すより、「全体を値上げするが、地元住民は割引があります」など、別の打ち出し方もあるのかなと思います。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
二重料金に対しては賛成です。
外国人観光客は高いモチベーションで来ているはずなので、少々料金が高くても払うのではないかなと思います。
姫路城を綺麗な状態に保つ上で必要であれば、積極的に値上げしても良いのではないでしょうか。
ホラン千秋キャスター:
城や公園などの持ち主は国や市区町村、都道府県という場合が多いと思います。
維持費に税金を使っていれば、県民や国民は間接的に入場料に相当する税金を納めて、維持に貢献しているとも考えられますから、入城料が安くても、「税金を払っている」という納得感はあると思います。
■姫路市民以外の日本人の価格設定は?
良原キャスター:
世界の二重価格について、城西国際大学観光学部の佐滝剛弘教授は「自国民と外国人を区別する二重価格は、主に途上国で導入されている。地元住民と観光客を区別するのが“グローバルスタンダード”」だと話しています。
清元市長は現在、「姫路市民と外国人観光客」という分け方をしてます。姫路市民以外の日本人の価格設定がどうなるのか問われてくるかもしれません。
井上キャスター:
値上げのアプローチもありだと思いますが、値上げだけではなく事前予約制で入城人数を少し制限するとか、時期によって料金を変えるなど、様々な方法があっていいのではないかなと思います。
松田丈志さん:
コロナ禍で空間内の人数をコントロールすべき状況になり、仕組みが発展したので、うまく活用してオーバーツーリズムにならないようにしてほしいと思います。
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<プロフィール>
松田丈志さん
五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父
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