先日、埼玉県で集団下校中だった小学生の列に84歳の男性が運転する車が突っ込んだという痛ましいニュースがありました。自分や家族の「免許返納」について、改めて考えた人もいるのではないでしょうか。

では、各都道府県の免許の自主返納率はどれくらいなのか。警察庁が出している運転免許統計をもとに調べてみました。

【75歳以上の免許返納率 都道府県別ランキング】
出典:警察庁 令和5年運転免許統計(高齢者講習受講者に対する申請取り消し件数の割合)

1位:東京都(14.2%)
2位:静岡県(11.9%)
3位:大阪府・神奈川・山口県(11.7%)

44位:熊本県・和歌山県(7.6%)
46位:徳島県(7.0%)
47件:高知県(6.6%)

1位の東京と最下位の徳島では、7.6ポイントの差があります。返納率7.6%で44位となった熊本県に関して、スタジオからは次のような意見が出ました。

リポーター「熊本は『車がないと困る』という人が多いですよね」
糸永有希アナウンサー「農業県でもあるので、軽トラックなどが必要という場合も多いのではないでしょうか」

実際に、警察庁の調査では免許返納をためらう人の約7割が「車がないと生活が不便なこと」を理由に挙げていました(平成27年度 運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果)。

免許返納後の不安をどのように取り除いていくのか。取り組みの一部を紹介します。

「運転経歴証明書」でサポート・サービス活用を

免許返納後の生活不安を解消する制度に「運転経歴証明書」があります。運転免許証の自主返納や、更新を受けずに失効した場合に発行できる証明書で、生活上の様々なサポートやサービスを受けられます。

例えば熊本県の場合、公共交通機関や市町村ごとの特典が用意されています。

〈公共交通機関〉
県内全域の路線バスや熊本電鉄、熊本市電(路面電車)の運賃半額

〈市町村ごとの特典〉
・乗り合いタクシーの割引や無料乗車のサービス
・電動アシスト付き自転車 購入費の一部助成(宇土市) など

また、2012年4月1日以降に交付された「運転経歴証明書」は運転免許証に代わる身分証明書として利用することも可能です。

将来は農作業でも活躍?電動モビリティ

普通自動車免許がいらない身近な乗り物と言えば、電動アシスト付き自転車です。

1993年に世界で初めて販売を始めた『ヤマハ発動機』によりますと、発売以降の売り上げは右肩上がりで、二輪自動車(バイク)の2倍近い年間約80万台を販売しているということです。そして、75歳以上の購入も増えている印象だといいます。

また、高齢者に対し電動アシスト付き自転車の購入費の一部を助成する自治体もあります。

熊本県宇土市の場合、65歳以上で「自転車安全利用講習会」を受講した人に対して購入費の3分の1 (上限2万円)を助成しています。さらに、免許証の自主返納から1年以内かつ「運転経歴証明書」などを提示すれば、助成の上限が4万円に引き上げられるということです。

また『ヤマハ発動機』は、普通自動車免許を必要としない低速のモビリティ車両の開発も進めています。

例えば、農地でも活躍する力強さと機動力を併せ持つ1人乗りの電動モビリティが将来的に作れられるかもしれません。
※小型特殊免許必要を想定

リポーター「車に乗らなくても充実した生活が送れるようになるといいですよね」
糸永アナ「高齢者本人だけでなくその家族にも影響する事なので、免許返納の決断をしやすい環境を整えることが大切ですね」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。