青森県五所川原市で15日に行われた「奥津軽虫と火まつり」。約4000人の人たちが訪れ、五穀豊穣や悪疫退散などを祈願しました。

このまつりで使われた火には、3か月前の火事で拝殿を失った五所川原神明宮の再建への思いも込められていました―。

「神社の命は祭りを奉仕すること」

五所川原市の岩木川河川敷で行われた「奥津軽虫と火まつり」。会場の中央では「お焚き上げ」が行なわれました。そこでは、五所川原神明宮の齋藤麻毅宮司が、まつりに使われる「忌火(いみび)」を採っています。

五所川原神明宮 齋藤麻毅宮司
「神社の命は祭りを奉仕することなので、残された社務所を用いながら一日も早く祭事を復活、奉仕させて頂きたいと考えている」

火災で全焼した拝殿

五所川原神明宮は2024年3月、火災で拝殿が全焼しました。神明宮では毎年、まつりで使うための採火が行なわれてきましたが、2024年は場所を社務所に変えてなんとか火を採りました。

五所川原青年会議所 石田潤理事長
「びっくりしたのが正直で、ただ宮司さんは覚悟を決めていたので、その顔を見た時から必ず(まつりを)やると決心していたので、今回、第52回を迎えた事に感謝している」

神事を執り行う齋藤宮司は、「繁栄」を意味する「弥栄(いやさか)」を語源とする「ヤッサー」の掛け声とともに地域の安寧を祈願しました。

高さ20m 巨大な虫人形に火を放つ「大虫昇天」

まつりのクライマックスでは、高さ20mの巨大な虫人形に火が放たれる「大虫昇天(おおむししょうてん)」。奥津軽の夜空を焦がしました。

五所川原神明宮 齋藤麻毅宮司
「火災により御社殿が焼失し、神様や皆さんには申し訳ないのですが、引き続き祭りをしっかり奉仕出来るように、皆様の力を借りて再建途上です。祭り事は、私たちの幸せな暮しを伝えていく事だと思っている。そのためにも皆の心をひとつにまとめるこのような祭りが大切なんだと思います」

江戸時代にはすでに田植えの終わった時期に行なわれていた風習。五穀豊穣への祈りに加えて2024年は、まつりの中心を担ってきた神明宮の再建、その一歩を踏み出すための思いも込められていました。

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