10年前に発生した広島土砂災害の被災地で、若者のグループが「復興支援の酒」のためにコメを作っています。コンセプトは楽しみながらの復興支援です。

標高およそ350メートル、広島市安佐北区大林町です。

5月中旬、若者たちの集団がやって来ました。グループ「ふるさと楽舎」の田植えです。

「根っこを付けてあげてください。根っこがないと枯れてしまいます」

大学4年 中村唯乃さん
「やる気満々、めっちゃ楽しみに来た。きのうからイメージトレーニング」

「ふるさと楽舎」は6年前から、ここで休耕地を再生しながらコメを作っています。主力は学生ボランティアです。

大学4年 上野羽音さん
「楽しい。普段できないことを体験させてもらえる。すごく魅力」

ふるさと楽舎 馬場田真一 プロジェクトリーダー
「(Q.学生にとっての魅力は?)やっぱり楽しいっていうのはあるかもしれない。活動の現場、現場で楽しいだとか、誰かの役に立ったとか、そういった一つ一つの積み重ねが最終的に復興につながっていくのかな」

活動のきっかけは、2014年の広島土砂災害でした。

リーダーの馬場田さんがバイクでツーリング中、町内の滝が荒れ果てているのを発見。遊歩道を修復したところ、地元の人から休耕地の再生を頼まれました。そこで馬場田さんが始めたのが、学生ボランティアの力を活用した復興支援でした。

取組みの柱が、自作のコメを使った酒づくりです。それが「大林千年」。大林町が、千年先も集落であるようにと、願いを込めた酒です。酒造りには、地元の蔵元が全面協力しています。仕込み作業は学生たちが手伝います。

スイーツも学生が作ります。近くの大学で栄養学を学ぶ学生が毎年、「大林千年」の酒粕を使ったスイーツを作って、田植えの日に披露しています。今年は「酒粕ガトーショコラ」を作りました。

人間栄養学科4年 秋山雅治さん
「かなり勉強になる。自分の成長につながっていく」

参加者(社会人)
「日本酒、大好きなのでおいしい」
人間栄養学科4年 秋山雅治さん
「ありがとうございます」

例年、参加者が食べて終わりですが、今年はまだ続きがあるかもしれません。参加した男性は「大林千年」を作った蔵元の杜氏、酒粕の提供者です。

旭鳳酒造 濵村洋平 杜氏
「後半で酒かすの風味がすごく広がる。蔵で販売できたら一番いいな」

楽しみながらの復興支援。植えた苗は10月に収穫され、4作目の酒造りがはじまります。

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