いよいよ7月、パリオリンピックが開幕します。
ニュースワイドでは、活躍が期待される信州のアスリートをシリーズでお伝えしています。
今回は、初めてのオリンピックを目指す、陸上・ハードルの新星、児玉悠作(こだま・ゆうさく)選手です。
2023年5月に行われた陸上、国内最高峰の大会、セイコーゴールデングランプリ男子400メートルハードル。
児玉悠作選手:
「後半8台目以降からうまくポイント踏んで走れて、自分の一つ殻を破れたような感覚はありましたね」
トップでゴールした児玉悠作選手23歳。
自己ベストとなる48秒77を記録しました。
児玉選手:
「初めての48秒台というのもあって、自分が今までやってきたことが身になった」
児玉選手は山ノ内町出身。
中・長距離の選手として中学から陸上を始め、高校2年の時、指導者の勧めでハードルにチャレンジしました。
現在は母校の法政大学で後輩たちに交じって、練習を重ねる児玉選手。
専門は、400メートルハードルです。
大塚記者:
「私の身長が173センチあるのですが、児玉選手が跳ぶハードルの高さはこちらです。私の腰の高さまであります」
ハードルの高さは、91.4センチ。
35メートル間隔で10台跳びます。
児玉選手:
「走っている時、普通の400メートルと違ってリズム感があったり、人によっての持ち味が出てくる。特徴、強みが表現できるのが魅力かなと思います」
そんな児玉選手ですが、普段は神奈川県の家電量販店で接客スタッフとして勤務しています。
児玉選手:
「従業員の方もいつも応援くださって、お客さまもこの前見たよと。直接そういうやりとりをお客様とできるのは、僕としてもうれしいですね」
職場での応援を力に。
6月末には、パリオリンピック出場がかかる日本選手権が待っています。
世界の舞台へ。
その思いを一段と強くした大会があります。
2023年8月、初めて出場したハンガリーでの世界陸上。
児玉選手:
「あの会場の雰囲気で走れたことであったり、いい経験ではありました」
「結果としては悔しい結果になってしまったんですけど」
世界トップクラスの選手に挑みましたが、結果は予選レース最下位で敗退。
世界を相手にして、課題も浮き彫りになりました。
児玉選手:
「5台目から8台目の通過が大きく離されてしまう。世界のトップの選手は、本当にそこが速いので、スピードという観点では足りていないので、そこのレベルアップを意識して取り組んでいます」
ハードル間の歩数は選手によって異なります。
児玉選手は、1台目から4台目の歩数が13歩、4台目から6台目が14歩、6台目以降が15歩の間隔が自分に合うといいます。
歩数が変わると、途中で踏み切る足と着地する足が逆になります。
逆足に切り替えたあとにスピードを落とさず、いかにリズムよく跳べるかがカギです。
オリンピックの参加標準記録は48秒70。
自己ベストを0.07秒縮める必要があります。
後半の失速をなくすべく調整を重ねます。
ともに汗を流す後輩の存在も大きいと言います。
児玉選手:
「負けたくないって僕も思いますし、刺激し合って練習できているのではないかと思いますね」
法政大学 井之上駿太(いのうえ・しゅんた)選手(4年):
「切磋琢磨はおこがましいですけど、自分も背中を追って常に速く走ることを追い求めていきたい」
酒井春名(さかい・はるな)選手(2年):
「僕の中ではすごい世界規模の先輩なので、どうにもならない参考にするところばっか」
児玉選手をずっと支えてきた母親の恵子(けいこ)さん。
世界に挑む息子の活躍を見守り続けています。
児玉恵子さん:
「昨年の活躍は私たちの予想を超えるもので、日本のトップレベルで戦えるまでに努力をして積み上げてきて、よくがんばったなと感じています」
小学生の時から足が速く、短距離走はいつも1番だったという児玉選手。
息子の夢への挑戦にふるさと、山ノ内町からエールを送ります。
恵子さん:
「自分の今までやってきたことに自信をもって、思い描いたレースを展開してほしい。その先にパリが見えていたら、それはすごくうれしいことですし」
児玉選手:
「4年に1度しかないというのもありますし、せっかく目指せる位置で挑戦できるところにいるので、全力で取り組んで勝ち取りたいと思います」
職場や後輩、そして家族。
多くの人からの期待と応援を力に、パリオリンピック出場を目指します。
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