携帯電話の普及に伴い、利用者が減少している「公衆電話」。街で見かけることも少なくなりましたが、ゆくゆくは無くなってしまうのでしょうか?「公衆電話」のいまとこれからを深堀りします。

携帯電話の普及で・・・

最後に公衆電話を使ったのはいつですか?街で聞いてみました。

街の人:
「最後に使ったのは小学校くらいの時なので、10年以上前になる。使い方も自信ない一回受話器外すんでしたっけ」
「(最後に使ったのは)携帯電話を持つようになった30年くらい前」
「ちょっと記憶にない高校生の時とかそれくらい前。もう40年くらい前になる」

やはり、携帯電話を持っていると公衆電話を使う機会は多くはないようです。2000年度からの全国の公衆電話の設置台数の推移を見てみると、2022年度はおよそ12万2000台で20年前に比べると、5分の1以下にまで減少しています。

NTTによりますと、減少の背景には携帯電話の普及に伴い、設置台数の基準が変わり、従来の3分の1から4分の1でよくなったことが影響しているということです。NTTでは、2031年度までにおよそ3万台にまで削減する方針です。

公衆電話は無くならない?

公衆電話の今後についてNTT東日本に聞きました。

NTT東日本デジタルコンサルティング部公衆電話担当 菅敏明専任課長:
「(公衆電話は)スマホなど普及した2000年くらいまで大分増えたが、モバイル端末が普及するにしたがって減少している。(無くなるというわけではない?)今のところは、という返事にさせてもうらう」

NTT東日本は、当面、公衆電話が無くなることはないと話します。その背景には、公衆電話が「災害時に果たす役割」があるといいます。2011年の東日本大震災では、家族や友人の安否を確認しようと避難所に置かれた公衆電話の前に行列ができました。NTTはこうした災害時には携帯電話よりも公衆電話が繋がりやすいと話します。

NTT東日本デジタルコンサルティング部公衆電話担当 菅敏明専任課長:
「(災害時)回線がパンクしてしまうと、110番や119番など重要な回線が使えなくなってしまうという状況にならないため、NTTのシステム側で規制をかける有線電話という位置づけになるので、災害のときも繋がりやすい」

大規模な災害の発生直後には電話回線がパンクするケースも想定されるため、NTTでは規制をかけるといいます。しかし、公衆電話は規制の対象外となる可能性が高いということです。

災害時専用の公衆電話

災害時に公衆電話が役に立つ特徴は他にもあります。

NTT東日本デジタルコンサルティング部公衆電話担当 菅敏明専任課長:
「NTTのビルから電力を供給しているため硬貨しか使えませんが、まわりのエリアが停電でも使える」

災害時に公衆電話が果たす役割を考えると、備えとしてなくてはならない存在と言えます。しかし、設置台数が減っていくとなると、災害時の使用が難しくなってしまうことが懸念されます。そこで、NTTなどは、災害時に避難所での通話ニーズに対応できるように、災害用の公衆電話の設置を進めています。

仙台市防災計画課 庄子正宏課長:
「こちらが災害時特設公衆電話で、災害時に避難所で避難者が利用できる電話」

この公衆電話は、災害発生時、指定避難所に設置される電話で、各自治体の要望に応じてNTTが配備を進めているものです。

仙台市防災計画課 庄子正宏課長:
「通常は(各避難所の)備蓄倉庫に入っていて、災害時になって初めて設置される」

事前に電話線を接続する端子盤を避難所に整備していれば、一般的な回線よりも繋がりやすく、無料で使える公衆電話が避難所にすぐに設置できるのが大きな特徴です。仙台市では2013年から整備が進んでいて、現在、市内の指定避難所195か所に設置されています。

仙台市防災計画課 庄子正宏課長:
「大規模災害、東日本大震災のような災害があったら、直ちに設置して活用してもらう。連絡を取れないと不安だと思うので、家族が遠方にいる場合だと安否が心配だろうから、活用してもらえば」

NTTでは災害時用公衆電話の配備を進める一方、ウェブサイトで公衆電話の設置場所を検索できるサービスも提供しています。いざというときのため、自宅や勤務先周辺に設置されている公衆電話の設置場所を今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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