アルバイト先のトイレで赤ちゃんを産み落とし、死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われていた35歳の女に、大阪地裁が懲役3年執行猶予5年保護観察つきの判決を言い渡しました。

女は去年8月、アルバイト先の居酒屋(大阪市阿倍野区)のトイレで男児を出産し、そのまま放置して死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われています。
医師の所見によれば、男児は少なくとも妊娠37週以降の正期産だったとみられ、死因は溺死でした。

これまでの裁判で被告の女は「間違いないです」と起訴内容を認めていました。
事件当日は、勤務中に体調の悪化を感じ、トイレにこもると赤ちゃんが生まれたといいます。

(6月5日の被告人質問)

被告「気張って…どれくらい気張ったのかは覚えていませんが、何かが出た感じはありました。泣き声が聞こえてきたので、赤ちゃんだと分かりました」

「私のお尻か太ももあたりに(赤ちゃんの)手が触れた感覚があった」

検察官「助けてあげなきゃという気持ちにはならなかったんですか?」

被告「パニックになって頭が真っ白で、ただただ動けない状態でした」


◆妊娠や出産 何度も検索

数年前から、マッチングアプリで知り合った男性数人との交際費などで、数百万円の借金を重ね、風俗店でも働くようになった被告の女。

事件の3週間ほど前からは、インターネットで「妊娠後期」「トイレで出産どうやって」「臨月お腹の張り」などと検索し、事件当日も「破水」と検索していました。

周囲へ相談しなかった点については、被告人質問で「人に頼ることや相談することが苦手だった」「母親が手術を控えていたので負担をかけたくなかった」と説明しました。


◆検察側の求刑は懲役4年

検察側は、▽医療機関への受診など出産に必要な準備をしていれば、事件に至らず嬰児が死亡することもなかった▽当日も助けを求めたり、母親の呼びかけに応じたりせず、トイレにこもり続け嬰児の救命の機会を奪ったなどとして、懲役4年を求刑。

一方の弁護側は、社会復帰後に支援を約束している人たちがいるなどとして、懲役3年・執行猶予5年の判決が相当と主張していました。


********

思いがけない妊娠・望まない妊娠をした時のために、自治体が相談窓口を設けています。

大阪府「にんしんSOS」0725-51-7778
LINEコールも
(月曜~金曜10時~16時日曜12時~18時土曜・祝日休み)

兵庫県「予期せぬ妊娠SOS相談」078ー351ー3400
LINEやメールでの相談も
(24時間365日受け付け)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。