致死率は驚異の30%。「人食いバクテリア」とも呼ばれ、手や足が壊死し、死に至ることもある「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者数が、過去最多を更新したことがわかりました。
人食いバクテリアは、地方でも感染拡大の兆しを見せています。
実は私たちの生活に身近な「溶連菌」と関係がある、人食いバクテリアとは何なのか。徹底解説です。

6月11日、国立感染症研究所は、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の2024年の患者数(速報値)が、977人となったと発表しました。過去最多だった去年1年間の患者数、941人を半年で上回りました。

▽「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」とは?

厚労省によりますと、溶血性レンサ球菌(いわゆる溶連菌)は、一般的には急性咽頭炎などを引き起こす細菌ですが、稀に引き起こされることがある重篤な病状として、劇症型溶血性レンサ球菌感染症が知られています。

鳥取大学医学部附属病院 感染症内科 千酌浩樹 教授


鳥取大学医学部附属病院 感染症内科 千酌浩樹 教授
「溶連菌という細菌による感染症です。この菌は通常は飛沫といって、唾や呼吸器のしぶきで人の体に入り、『咽頭炎』という喉の感染症を起こします。

この菌が、喉から、また傷などを通じて、足や手の先などに感染した場合、『壊死性筋膜炎』といって、筋肉や皮膚の溶連菌感染症を起こします。

その中の半分ぐらいが『劇症型』といって、全身に激しい反応を起こして、血圧が上がらなくなったり、多くの臓器、肝臓や腎臓や心臓がやられて、劇症型溶連菌感染症になるというふうに考えられています。

劇症型に限って言えば、致死率は非常に高いと言われていて、30%という数字が出てます」

▽6月時点で、過去最多だった去年1年間の患者数を上回る。なぜ今年は流行していると考えられるのか?

鳥取大学医学部附属病院 感染症内科 千酌浩樹 教授
「感染経路の一つが飛沫ですから、コロナ禍が終わって、みんなマスクを外したというのが一つあると思います。それから、接触感染といって、人と人との接触が、今までよりも密になってきたっていうのことも考えられてます。

もう一つ考えられているのが、イギリスの方で流行している、少し病原性の高い種類が日本国内でも流行してるのではないかという可能性がありまして、いま国が一生懸命解析しているところです」

▽地方でも感染が広がる可能性はある?

人食いバクテリアは、都会だけで流行している病気ではありません。
山陰両県でも「人食いバクテリア」の感染が確認されています。

島根県では、今年5月までに8件確認されていて、去年1年間の患者数6件をすでに上回っています。

鳥取県では、今年5月までに6件確認されていて、去年1年間の患者数6件と並びました。


鳥取大学医学部附属病院 感染症内科 千酌浩樹 教授
「これは日本全国どこでも広まる可能性がありまして、山陰両県で広まってきてもおかしくないと思います。

実際、現在も「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の警報が出されています。それほどこの社会の中で、この菌に感染する人が増えているということです。その中のごく一部が、劇症型の溶連菌感染症ということになります」

鳥取県では、去年10月から現在まで「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」警報が発令中で、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の定点患者数は、6月時点で3200人以上と、去年の同じ時期に比べておよそ7倍にも増えています。溶血性レンサ球菌、いわゆる溶連菌が非常に身近な存在になっていることが分かります。

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