体が徐々に動かせなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の新たな治療法の開発を目指す臨床試験(治験)について、京都大の井上治久教授らの研究チームは12日、第2段階の治験において、一部の患者で病状の進行抑制を確認したと発表した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って既存薬の中から有望なものを探し、慢性骨髄性白血病の薬を投与した。  薬を探索した手法は「iPS創薬」と呼ばれる。今回は、発症後2年以内など条件を満たした患者26人を対象に、京大病院のほか北里大病院(相模原市)や鳥取大病院、広島大病院などで実施。慢性骨髄性白血病の治療薬として用いられている「ボスチニブ」を、患者に対して24週間にわたり投与した。  チームは患者の皮膚からつくったiPS細胞を運動神経細胞に成長させ、ALSの病態を再現。千以上の薬をそれぞれ振りかけて調べ、ボスチニブを候補に選んだ。  第1段階の治験は19年から開始。21年秋に、9人中5人で病状の進行を止める効果が確認されたとの結果を公表した。結果を踏まえ、22年春から第2段階を始めた。


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