「念書は無効との判決を」と訴える長女(左)

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側から違法な勧誘を受けて高額献金させられたとして、信者だった女性の遺族が教団側に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は10日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。女性が「賠償請求などを一切しない」と書いた念書について、遺族側は「無効」と主張、教団側は「有効」と反論し、結審した。判決は7月11日。

◆女性の長女「念書は無効との判決を」

 弁論は二審の判断を見直す際に必要な手続きで、念書は有効として遺族側が敗訴した一、二審判決が見直される可能性がある。遺族側の弁護団によると、念書の有効性が争われている訴訟は少なくとも5件あり、最高裁が初めて判断を示す見通し。  弁論で遺族側は、女性が教団側の指示で夫の財産約6500万円を献金させられたと主張。当時86歳だった女性は念書作成から約7カ月後に認知症と診断され、念書について「正確に理解することは不可能だった」と訴えた。  教団側は、念書は女性の意思で書かれたと反論。念書とは別に「献金しなければ子や孫が不幸になると言われた」と記した書面は「長女が書かせたもので虚偽」と主張した。  一、二審判決は、女性が公証人の前で署名、押印したことなどから、念書は正常な判断能力に基づき作成され有効と判断し、遺族側の訴えを退けた。  弁論後に遺族側が東京都内で記者会見し、長女は「ずさんな事実認定をした一、二審判決はただされなければならない。念書は無効との判決を」と訴えた。山口広弁護士は「今も多数の現役信者が念書を書かされており、今回の判決は非常に大きな影響力を持つ」と語った。(太田理英子) 

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