過酷な労働環境で、なり手が不足している学校の先生。教育現場の実情を赤裸々に語ってくれました。

教壇に立つ先生たちには、どんな悩みがあるのでしょうか?

道内の小学校で働く20代から50代の先生3人に本音を語ってもらいました。

 50代(教員歴36年)
「(人手は)かなり足りなくて、四苦八苦している感じなんじゃないかなと、私は受け止めています。」

 40代(教員歴20年)
「体調悪いときに休めるっていうときに、代わりに入れる先生というのが、ほとんどいないと、体調悪い中でも無理をして働いているというのが実態です」

 20代(教員歴6年)
「もうなんか、大変って言いたいけど、でも他のクラスも大変だし、なかなか(手伝ってほしい)言いづらい」

科目として外国語やタブレット端末を使った授業など、業務内容の多様化もあり、先生の負担は増すばかりです。

北海道教職員組合によりますと、道内の小中学校で、時間外労働の上限である「月45時間」を超えた教員は、4割を超えています。

 帰る時間は、先生の裁量に任されているものの…。
 
20代(教員歴6年)
「校長先生、教頭先生は“早く帰って…”と言ってはくれるんですけれど、“わかりました”とは言うんですけれど、心の中では無理ですと思って…」

50代(教員歴36年)
「聞こえないところで、ベテランの先生が「帰れるわけねぇだろう!」って言ったことはありますけれどね」

20代(教員歴6年)
「逆に仕事早く終わったので、早く帰ろうと思ったときに、周りの先生から“早く帰れていいね”って言われたときには、ちょっと…なんだそりゃ?と思って…そのときはイラッとしました」

 40代(教員歴20年)
「学校を定時で帰ったとしても、結局やる仕事が終わっているわけではないので、皆さん、その仕事を家に持ち帰ってやっているというのが現状かなと」

多忙を極める先生たち。「有給休暇」など、休みを取ることはできているのでしょうか?

40代(教員歴20年)
「いわゆる自分のプライベートだとか、家族のことだとかで休むということが、ほとんどできていないかなという状況です。長男の学校の体育祭があったんですけれども、私の学校でも、いま運動会の練習真っ盛りということで、なかなか休んで(長男の体育祭へ)行くということもできない状況でした」

50代(教員歴36年)
「(自分の子どもの)運動会とかそういうのは、期日が全く同じでしたので、ずっーと。一度も運動会には行ったことはありません」

20代(教員歴6年)
「そうですね、私も、なかなか休めなくて、鼻水とか、咳とか出ている程度だったら、もうマスクして、出勤していますね」

40代(教員歴20年)
「もうあえて体温計で、体温を計らないという人も中にはいましたよね。熱がないだろうと、自分に言い聞かせて頑張っているというような方が結構多かったかなというふうに感じます」

こうした労働環境を少しでも改善するため、働き方の見直しを訴えます。

50代(教員歴36年)
「人が増えたら、自分の持ち授業の時間数も減っていくし、もっとゆとりを持って子供に向き合う時間も取れるんじゃないかと…だから、お金で私たちは仕事をしていないけれど、働き方は今すぐにでも変えてもらいたい。そんな気持ちです」

 40代(教員歴20年)
「子どもたちにとって、目の前の先生が体を壊す、または過労死してしまう。それは絶対見せてはいけないことなのではないかなって、いうふうに思います」

 20代(教員歴6年)
「(先生は)人の成長が見られる素晴らしい仕事だなって、これから入ってくる若い人たちにもそう思ってもらえるように労働環境、体制っていうのを、もう少し変えてくれたらなと思っています」

 今回、教壇に立つ教師の過酷な労働環境を知ってもらいたいとの思いから、匿名を条件に、若手、中堅、ベテランの3人の先生たちが、取材に応じてくれました。

小学校や中学校では、教員の負担を減らすため、対策も取られています。

 ◆《「教員業務支援員」&「教科担任制」》
▼【教員業務支援員】
・2018年度から小・中学校などに配置。
・北海道教育委員会は“1クラス1人”を理想としている。

・資格は特に必要なく、主な業務としては、学習プリントなど授業準備や採点業務の補助など。
・専門的な知識や技能を要しない業務を行います。

▼【教科担任制】
・2022年度から始まった小学校の高学年を対象に、教科ごとに専門の教員が授業を受け持つ。
   
しかし、教師の負担を減らす対策も、取材に応じた3人の先生方に伺うと、まだ上手く機能していない現状があるようです。

「教員業務支援員」は業務内容に対して、圧倒的に人数が足りていないこと。そして、補助業務にとどまらず、可能であれば授業も担務してほしい要望があります。

そして「教科担任制」については、 外国語を教える専門教育だけしか進んでいない…そんな印象があるとの意見がありました。
  
教員の給料は、都道府県と国が支払っています。一方「教員業務支援員」などの人件費は、市町村が支払います。こうした背景もあり、市町村の財源や教育への力の入れ方で、地域差が出ている状況です。

■続きは…《【先生たちの本音トーク】で浮かぶ教育現場の実態(2)豊かな学びのために何が必要なのか…》

※(2024年6月7日(金)「今日ドキッ!」放送)

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