(大石邦彦アンカーマン)
小林製薬の「紅麹サプリ」と今回の健康被害は、まだ因果関係はわかっておりません。

そして、腎臓の病というのはいろんな要因で起きたりもするわけです。例えば、生活習慣病、年齢、薬剤など。最近で言いますと、新型コロナワクチン接種後に腎臓がダメージを受けたという方もいらっしゃいます。いろんな要因があるということをまず皆さんにお伝えしておきます。

そんな中で私が取材した方は、愛知県内に住む40代の女性です。この方に基礎疾患はありません。定期的に健康診断を受けていました。異常はなかったそうです。

新型コロナワクチンは2回接種。2021年初期の頃です。それからは打っていないそうです。健康だった彼女には1つだけ悩みがあったそうです。コレステロールの値が高かったと。なので、紅麹サプリの服用を決めたということです。

2023年の4月から1年間にわたって、毎日3粒ずつ飲んだそうですが、ことしの2月ぐらいから体調が悪くなりました。吐き気、食欲不振、倦怠感。体重は45キロあったそうですが、7キロ減って38キロまで落ちたそうです。

なので、心配になって近くのクリニックに行ったそうですが、異常は見られなかった。そこで大きな病院に行って検査したところ、彼女の腎機能は、低下していたということなんです。そして、その場で緊急入院が決まります。

診断名「ファンコニー症候群」栄養分が吸収されず尿として出てしまう

いろんな検査をしたそうです。腎機能が低下していて「ファンコニー症候群」という診断名がつきました。どんな病気なのか。

「尿細管」という、カリウムやリンなど体に必要な栄養分を再吸収する場所がダメージを受けてしまい、吸収されず全部尿から出てしまう。これが「ファンコニー症候群」です。では「ファンコニー症候群」は、なぜ起きるのか。

名古屋市立大学病院 腎臓内科の濱野高行医師に聞きました。「ファンコニー症候群」は薬剤で起きたりもするそうです。例えば、抗生物質や抗がん剤などで、尿細管がダメージを受けたりする。さらにもう一つは重金属類。これを摂取することによって、尿細管がダメージを受けることもあるそうなんです。鉛、銅、カドミウムなども含まれるということです。

カドミウムの慢性中毒による「イタイイタイ病」という有名な公害がありますよね。この患者の中には「ファンコニー症候群」になったという事例もあるそうなんです。濱野医師はそのように、教えてくださいました。

「ファンコニー症候群」なぜ起きた…“意図しない物質”が原因か?

日本腎臓学会によれば、小林製薬の「紅麹サプリ」を摂取し、健康被害が報告された95例(4月9日時点)のうち、大半がファンコニー症候群だということがわかっています。その中で、ファンコニー症候群の患者とそれ以外の患者は、今回の健康被害を少し分けて考えた方が良いかもしれません。

濱野医師は、ファンコニー症候群の方は薬剤や重金属類などが理由の可能性が、そしてそれ以外の方というのは、もしかしたらそもそも腎機能が低下していて、たまたま紅麹サプリを飲んでいた可能性もあるということを言っておりました。

ファンコニー症候群は、なぜ起きたのかということなんですが、「紅麹サプリの製造段階で、意図しない物質が発生したか、意図しない物質が混入した可能性がある
」と濱野医師は指摘してました。

小林製薬はホームページで「当社の想定していない成分を含む可能性がある紅麹原料を使用した『紅麹コレステヘルプ』の製造番号は以下の通りです」と紹介しています。

実は先ほど紹介した40代の女性が摂取していた紅麹サプリというのは「H3027」で、この中にありました。このH3027の40代の女性が飲んでいた紅麹サプリを3粒、お借りしました。

成分調査をするような研究機関に依頼して、「いったい中身に何が含まれていたのか」「何が原因だったのか」というのを、今後追跡調査してまいります。

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