被害が相次ぐアライグマ。青森県内で初めて生息が確認されたのは20年前。弘前市でした。現在は県内で広く生息し、年間300頭以上が捕獲されています。深刻さを増すアライグマの被害と対策を取材しました。

弘前市百沢地区で6日朝に捕獲されたアライグマです。このアライグマは、百沢地区で解体中の建物に設置された捕獲用のわなに入っているのが見つかりました。

この場所では4日、5頭の子供のアライグマが捕獲されていて、さらに箱わなを設置したところ、6日朝、母親と見られるアライグマが入っていました。

弘前市農村整備課 齋藤大介さん
「(年間の)捕獲数が頭打ちになってきて、近年は右肩下がりになっている。専門家の人からは、生息数の抑制がある程度出てきているのではないか」

アライグマは本来、日本には生息していない特定外来生物で、1960年代以降、動物園や個人のペットが逃げ出して野生化したとされています。

県内では、2004年に弘前市で初めて生息が確認されたあと急激に繁殖し、2022年度の捕獲頭数は弘前市だけで72頭。県全体で300頭以上にのぼります。これに伴い、各地でスイカや野菜などの食害が多く発生するようになりました。

こうしたなか、弘前市では2012年に対策強化の必要性が浮き彫りになった出来事がありました。

天井裏から降りてきたアライグマが、じっとカメラを見つめています。映像が撮影されたのは、国の重要文化財に指定されている弘前市の高照神社でした。2012年に生息が確認され、本殿で爪痕が見つかるなど被害がありました。

弘前市は現在、鳥獣被害防止計画を定め、アライグマ用の箱わなを市民に貸し出していて、2024年も4月には2頭が捕獲されています。

これからは野菜が収穫期を迎えて、被害が集中する7月~9月に向けて重点的に捕獲する方針です。

弘前市農村整備課 齋藤大介さん
「アライグマは捕獲するのが一番の対策。行政の力だけでは限界がある。市民の皆さんにも協力して、アライグマの個体数を減らしていきたい」

県は、農家や市町村の担当者向けにアライグマに関する研修会を行ない、被害の軽減に努めるとしています。

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