速度表示が無い一般道の法定速度は一律で「時速60キロ」ですが、長年続いたこのルールが変わることになりそうです。

道幅が狭く、対向車とすれ違うのもやっとの所もある、いわゆる「生活道路」。

警察庁は2年後の2026年をめどに、主に幅員が5.5メートル未満の道路での最高速度を「時速60キロ」から「30キロ」に変更する方針を固めました。

現在のルールでは、生活道路であっても、標識が無いと最高速度は「60キロ」です。

警察庁のデータによれば、歩行者が時速30キロ以上の自動車とぶつかった場合、致死率が急激に高まることが分かっています。

京都府が行った実験映像では、時速40キロで走行する乗用車が自転車に乗った人形とぶつかった場合、ボンネットに強く叩きつけられた人形はバラバラに。

警察庁は、こうした事故を無くし、日常的に使う生活道路をより安全な環境にするための見直しをするのです。

名古屋市瑞穂区の汐路西地区は去年から、「ゾーン30プラス」と呼ばれる、最高速度30キロの区域規制が行われている所です。

特徴的なのは…

(森本琴衣記者)
「この道路にはポールが設置されていて、車道の幅が狭くなっています」

「ゾーン30プラス」のエリアは「人優先」の通行空間にすべく整備が行われていて、車道を狭くしたり、ドライバーが道に障害物があるように見える「マジカルマーク」と呼ばれる模様などを描くことで車のスピードが出にくい環境になっています。

普段通行している人たちにうかがうと…

(通学で通る大学生)
「歩行者が安全になるので良い」
「ありがたい。速いと怖いから」
(住民)
Q車が遅くなった実感は?
「全然。飛ばしている」
「子どもが2人いるので、速く走られると怖いのでうれしい」

実際、名古屋市がこの汐路西地区で道路の幅を試験的に狭くした2022年の調査では、通行する車の速度は平均で約4キロ遅くなる効果があったということです。

この地区の児童たちが通う小学校は、「ゾーン30プラス」の効果について…

(汐路小学校 吉野徹教頭)
「安全対策が地域ぐるみで図られている。ドライバーが速度を実際に落としてくれる。子どもたちの安全のためには本当に良かった」

今後、生活道路の法定速度が「一律に」引き下げられることについては。

(汐路小学校 吉野徹教頭)
「ドライバーが『生活道路はゆっくり走るものだ』と意識が変わっていって、安全性が高まることにつながると良いな」

この速度規制は2026年9月から、全国の生活道路で行われる見通しです。

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