今年1月、能登半島地震が発生し救助や支援の遅れが課題となりました。
大きな災害が起きると、消防庁は各地の消防に「緊急消防援助隊」として出動を指示します。
しかし、能登半島地震では発生から72時間で緊急消防援助隊の約半数しか被害集中地域に辿り着けませんでした。
実は熊本でも、似たような状況になる恐れがあります。県内の備えを取材しました。
天草で地震が起きたら…?
今年1月に発生した能登半島地震。土砂崩れや陥没によって道が絶たれ、さらに海底が隆起したことで漁港も使えず、被災地は孤立しました。
熊本県危機管理防災課 三家本勝志 特別顧問「救助部隊や支援物資が送れないと話が入ってきて、これは本当に大変なことだと思いました」
“被災地の孤立”は、熊本も他人事ではないと言います。
三家本さん「宇土半島を見ると、大きな揺れが起きた場合にこのあたり(海岸沿い)で土砂崩れや道路が崩壊するかもしれないと心配」
さらに強く懸念しているのが、宇土半島の先の天草地域です。
三家本さん「1号橋では2本の橋ができているが、大矢野島から上島までは2.3.4号橋と一本道になる。橋自体も怖いけれど橋の前後の渡り始めなど、下が崩れやすいところがある。そうすると橋が残っていても危なくて通れない」
実際に、天草市民に聞くと…
「天草五橋。橋がもし何かで崩落したら(支援が)時間的に制約されるんじゃないか」
「飛行機も1機しかないので不備があれば飛ばなくなるし。島として孤立するよね」
熊本県は能登半島地震が起きる前から、天草が孤立する可能性を考えていました。
陸だけでなく空・海からの救助や支援
3年前の訓練の様子。上天草市で震度7を観測する地震が発生し、天草地域が陸路を絶たれて孤立という想定でした。
自衛隊は大型の輸送ヘリを使って空から救助に駆けつけました。
さらに今年度は海からの支援を強化した訓練を行う計画です。
三家本さん「大型輸送艦や海上自衛隊の大きな船をつけて実際に物が降ろせるかどうかなど。必ずやっておかねばならない訓練だと、我々も心を新たにしたところです」
県が備えを進める一方で、天草も支援を待つばかりではありません。
精鋭ぞろいの『高度救助隊』
天草広域連合消防本部です。
天草広域連合消防本部 警防課長 山下伸介さん「応援が来るまでは自分たちで 今ある車両と装備でしのぐしかない。そのために『高度救助隊』というものを発足させています」
『高度救助隊』は、人命救助に特化した組織。高度救助隊にしか扱えない機材も多く、2年ごとに一度の試験に合格しなければ所属できない、精鋭ぞろいの部隊です。
天草広域連合消防本部 高度救助隊 瀧本一政隊長「これは地震探査警報器。活動中に余震がきたときに警報で隊員に危険を教える装置です」
ーーこれはどの消防署にもあるわけではない?
瀧本隊長「ないですね」
実は、高度救助隊を組織するには『人口10万人以上の自治体』という基準があります。一方で、天草市の人口は約7万人。つまり、少し「背伸び」をして備えています。
日奈久断層帯「30年以内の地震発生確率」は最も高い「Sランク」
福居万里子アナウンサー「なんか、特別な車両があると聞きました」
天草の高度救助隊が導入した、特別な車両が『小型救助車』。
福居アナ「大きいのじゃなくてこっち?かわいい感じですね」
一般的な消防車両と比べると、サイズは半分程度と可愛らしい姿ですが…。道路状況が悪くても現場に迎えるこの車両。
全国に18台しか配備されていません。
このほかにも空からはドローン、海からは船で、いつやってくるか分からない災害に備えています。
さらに、その日奈久断層帯ですが、政府の地震調査委員会が発表した「30年以内の地震発生確率」は最も高い「Sランク」です。
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