広島県廿日市市の極楽寺で、県重要文化財の観音坐像が台座などを修復するため運び出されました。この像が動かされるのはおよそ460年ぶりとも言われています。

極楽寺外観極楽寺は廿日市の極楽寺山、山頂付近にあります。731年に僧の行基によって開かれ、その後、火災で焼失した本堂を1562年に毛利元就が現在の形に再建したと伝えられています。

本堂には、寺の本尊で、県の重要文化財に指定されている「木造十一面千手観音坐像(もくぞうじゅういちめんせんじゅかんのんざぞう)」があります。その台座である須弥壇(しゅみだん)の傷みが激しく、前方に傾いた状態のため極楽寺は地震などに備え、修復することを決めました。県教委によりますと観音坐像は平安時代・中期に作られたと考えられています。

極楽寺 菅梅行恭住職
「お参りされる方の願い事をずっと叶えつ続けてこられているので、たまにはお休みされてもいいのではと思う。私の代にそれ(修復が)できるのは幸せだと」

京都から来た仏像の専門業者が観音坐像の手から持物(じもつ)などの付属品を丁寧に分解…。そして、傷つけないように10人がかりで慎重に運び出します。
額から膝までおよそ2メートル30センチ、推定200キロ以上の観音坐像。2時間以上かけて無事に近くの阿弥陀堂へ動かしました。

極楽寺 菅梅行恭住職
「感無量です。こういうふうな行程が見られるのは私が住職になって初めてなので幸せです」

寺によりますと、観音坐像は1562年以降のおよそ460年間、動かされた記録がないということです。観音坐像を運び出した後、台座や扉の分解作業が行われました。

松本明慶工房 松本明観大佛師
「ドクター目線で傷んでる箇所があれば直すが、直す方法が文化財だと手順を踏む必要があるので総合的な判断をあおぎながらやる」

極楽寺 菅梅行恭住職
「普段見られない姿の本尊さんを見られると思うのでぜひお参りにきてほしい」

観音坐像は土曜日から極楽寺の阿弥陀堂で一般公開される予定です。

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