2024年夏に世界文化遺産への登録が期待されている新潟県佐渡市の『佐渡島の金山』に、観光客を呼び込むための街づくりはどうすればいいのか?
金山のお膝元となる相川地域では、歴史的資源で地域活性化を目指し、100年先の街づくりを見据えたユニークなホテルが誕生しています。

佐渡市相川北沢町にある北沢浮遊選鉱場には今春から、たこ焼きの「屋台」が出店しています。
古びたコンクリートの遺構にツタのからまる選鉱場は、今回世界遺産登録を目指す史跡には含まれていませんが、まるで“天空の城”のごときその唯一無二の風景は、多くの観光客を魅了しています。

この出店を企画したのは、相川地域の商工会の若手らでつくる街づくり団体『相川車座』です。

出店にはある経緯がありました。

【相川車座・原田光さん】
「(昨夏は)たくさん観光客が来て、相川でお昼ご飯をどこも食べられない…。要は、飲食難民みたいなかたちになり、これは何とかしないといけないよね」

『佐渡島の金山』が世界文化遺産に登録されることで、観光客の増加が期待されていますが…

「佐和田にも飲食店がいっぱいあるので、観光客がそっちに流れてしまう可能性もある。何とか相川での滞在時間を2時間でも3時間でも増やしていけたら」

住民が不安に感じていることは、相川中心部での観光客の滞在時間です。
相川地域では、金山などの名所“だけ”に立ち寄る観光客が多く、中心部での滞在時間が短いのが課題だというのです。

【佐渡観光交流機構経営企画室・山本尚代室長】
「街中と金山との距離がかなりありますので、そういったところの距離が課題となって、なかなか街の方には歩いてこないという現状があるとは思う」

鉱山住宅などの歴史的な街並みが残る中心部と金山周辺との間は、周遊バスで結ばれるなどして行き来がしやすくなっています。
しかし実際に金山で観光客に聞いてみると、その滞在時間は限られたものでした。

「相川奉行所を…写真撮っただけですけど。“ラピュタ”とか言われていたこの辺には行ったりしました」
― 滞在時間はどのくらい?
「相川自体は1時間くらいかな」

― 下の街は相川という街なんですけど…?
「そういうのあるんですか。まだあんまり調べていなかったし知らなかったです」

施設の規模や性質が違うために単純な比較はできませんが、2023年度の「史跡・佐渡金山」の入場者数は、およそ14万人。
一方、相川の中心部にある佐渡金山のガイダンス施設「きらりうむ佐渡」はおよそ2万人と、金山の7分の1ほどにとどまっています。

相川の中心部に人を呼び込み、滞在時間を伸ばしてもらいたい。
そう考え相川車座が準備を進めているのがホテルです。

ただ、普通のホテルとは少し違います。


【相川車座・岩崎裕哉さん】
「居酒屋にホテルのチェックイン機能を持たせて、チェックインした後、居酒屋でそのまま“ウェルカムドリンク”を提供します」

商店街にあるこの居酒屋は、ホテルのフロントのような役割を果たしますが、ここに宿泊用の部屋はありません。

肝心のお部屋は というと…
相川車座・岩崎裕哉さんに案内されて、商店街をしばらく歩きます。

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