(若狭敬一キャスター)
働き方改革で時間外労働が制限され、モノがこれまでのように運べなくなるかもしれないという、物流の「2024年問題」。

今、物流の業界はどうなっているんでしょうか?

(山内彩加アナウンサー)
ネットショッピングなどが普及することによって、宅配便の取り扱い個数は増えています。

2022年の取扱個数は約50億個で、10年前の約1.4倍になっています。

(山内アナ)
一方で心配なのが人手不足で、働きたい人1人に対して、どのくらい募集があるかを示す「有効求人倍率」は、トラックドライバーの場合は1.97倍。

働きたいという人1人に対して、求人件数は約2件で、「人手が足りていない」という状況です。

(若狭キャスター)
取り扱う「モノは多い」のに対して、「ドライバーが少ない」ということで、我々消費者にも影響がありそうですね。

(山内アナ)
はい、値上げという形で影響が出てきています。

ヤマト運輸は4月から平均で約2%値上げ、佐川急便も4月から平均で約7%の値上げ、郵便局の「ゆうパック」は去年10月から平均約10%の値上げとなっています。

Amazonも配送料が無料となる注文金額が、今までの2000円以上から3500円以上に値上がりしています。

(若狭キャスター)
取り扱う荷物は多いのにドライバーは少ないということに加えて、時間外労働時間が制限されるということですから、宅配業者からすると、残業時間が抑えられるので、新たなドライバーを雇わなければモノが運べない。

残業時間が減ってドライバーの手取りが安くなることで、「もう、この仕事をやめようかな」という人を何とか引き留めなければいけないので、給料も上げなければいけない。

つまり、宅配業界からすると、値上げというのは止むを得ないということになってきそうですね。

(大石邦彦アンカーマン)
こうした動きというのは宅配業界だけではなくて、バスやタクシーの業界にも起きているんです。

この「物流の2024年問題」を、どう乗り切っているのか聞いてみました。

まず業界大手の「つばめタクシー」は今、新卒のドライバーを積極的に採用したり、女性ドライバーも増えているそうです。

現在、名古屋市内を走っているドライバーは約2100人で、去年と比べて15%増えました。

希望者には週休3日制を導入したり、アプリを活用することで経験が少なくても効率良く仕事ができるようにしているということです。

では、バスはどうかということで、名鉄バスに聞いてみました。

ドライバーは現在1300人なんですけれども、今年度は昨年度より50%増やすことを目指しているそうです。

どうやって増やすのかというと、短時間のドライバーや外国人の採用も考えているほか、やはり賃上げで待遇面を強化して、何とか人手不足を乗り切ろうとしているそうです。

(若狭キャスター)
モノであっても人であっても、運ぶのはドライバーなので、この確保は大変だなと思う一方で、「自動運転」という技術革新があれば、打開策の一つになるのかなと思うんですが。

(大石アンカーマン)
各地で自動運転のバスの実証実験が行われたりしているんですけれども、なかなか難しい側面もあるようなんですね。

例えば岐阜市の自動運転バスの場合、ことし3月に路線バスとの接触事故が起きました。

岩手県の陸前高田市で行われた自動運転の実証実験を取材したことがあるんですが、速度が20キロぐらいで走るので渋滞が起きてしまったりとか、昆虫のトンボが横切っただけで止まってしまったりとか、いろんなトラブルもあって、導入はなかなか難しいのだということがよく分かりました。

(若狭キャスター)
自動運転も先が見えないということで、私たちにできることは、配達された宅配の荷物を確実に受け取ること、あるいは宅配ボックスなどを使うことも必要かもしれません。

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