去年5月に大阪府で、20代男が凄惨な暴行と異常な強要行為の末、同居女性を死亡させた事件。男側は1審の懲役12年判決に対し、「量刑が重すぎる」などとして控訴していましたが、大阪高裁は4月16日、控訴を棄却しました。

【全身殴る蹴る、腹部踏みつけるなどの凄惨な暴行 エアガンも発射】
1審判決などによりますと山中元稀被告(22)は去年5月、同居女性(当時18)が他の男性と関係を持ったことに激昂。

大阪府泉佐野市の自宅で女性に対し、▽全身を多数回殴る蹴る ▽腹部を踏みつける ▽エアガンでプラスチック弾を発射するなどの暴行を加え、出血性ショックで死亡させました。

【「一生かけて拷問していこか」「口放り込めや!」戦慄の強要行為を自ら動画撮影】
さらに山中被告は「全部なめまわせ」「髪の毛食えや」「はよ飲めや」「口放り込めや」などと女性を脅し、床に広がった血をすすらせたり、被告が引きちぎった髪の毛で血を拭き取らせ、その束を口に含ませたりするという、異常な強要行為に及びました。

《裁判で公開された音声》
(被告)「全部なめまわせ」「髪の毛食えや」「おいしい?」「はよしいや」
(女性)「これだけは…無理」
(被告)「それで許したるって言ってんねんで、俺」

(被告)「20、19、18、17、16、15…」
(女性)「待って…」
(被告)「待たへんから!」「はよ飲めや、許したるって言うてんねん!」「飲み込んだらええだけやん」「一生かけて拷問していこか」「口放り込めや!」

山中被告はこの様子を携帯電話で動画撮影。その後、被告は動画を削除しましたが、捜査当局が復元に成功し、決定的な証拠となりました。

【殺人容疑で送検も起訴罪名は「傷害致死」】
山中被告は「殺人」と「強要」の疑いで送検されたものの、「傷害致死」と「強要」に罪名を切りかえ起訴されました。殺意の認定には至らなかったとみられます。

1審の裁判で山中被告側は起訴内容を認めたうえで、自ら暴行を警察に申告したので自首が成立すると主張しました。

【「被害者の尊厳を蹂躙した残忍な犯行」1審判決は懲役12年】
しかし大阪地裁堺支部(荒木未佳裁判長)は判決で、「申告内容は“被害者が包丁を持って襲ってきたから暴行を加えた”というもので、明らかに正当防衛を意識したウソをついており、自首は成立しない」と指摘。

「一連の暴行は、もはや拷問ともいうべきで執拗かつ苛烈。非情な強要行為は、被害者の尊厳を蹂躙(じゅうりん)した残忍な犯行だ」と糾弾し、懲役12年を言い渡しました。

【「長い人生からすれば、十数年の懲役なんてごくわずかで、痛くもかゆくも…」判決後に拘置所の面会室で記者に“豪語”】
山中被告は1審判決後、拘置所でMBSの面会取材に応じていました。そして、判決を受けてのコメントは次の通りだと語りました。

《面会室で山中元稀被告が記者に伝えたコメント》
「私の長い人生からすれば、十数年の懲役なんてごくわずかで、痛くもかゆくもまったくくらいません(原文ママ)」
「20代といえば、社会一般的に周囲の20代は遊び盛りです。ですが、私は他と異なり、20代は懲役で自由(原文ママ)を余儀なくされる始末です」
「ですが私は腐りません。私の20代は猛勉強し、少し脂の乗った30代に大きく飛躍し、BIGになる!これが私の人生計画・ライフプランです」

「痛くもかゆくもまったくありません、ではないか?」「自由ではなく、不自由ではないか?」と記者が確認しても、山中被告は自分が述べた通りだと強調。

また「このコメントは、法廷で被告自身が述べた反省の言葉と矛盾しないか?」と問いかけると、被告は「矛盾しないと思います」と答えました。

被告が被害女性のことを、小指を立てて「コレ」と呼ぶ場面もありました。

【控訴審では改めて自首の成立と量刑不当を主張 遺族は“少なくとも1審判決の維持を”と悲痛な訴え】
「十数年の懲役なんて…」と本人は語ったものの、面会後に被告側は、1審判決を不服として大阪高裁に控訴。

今年3月の控訴審公判で、弁護人は「被告の申告で捜査が混乱したという点もない」などとして改めて自首の成立を訴え、「懲役12年の量刑は重すぎる」と主張しました。

公判には被告本人も出廷。1審時と風貌に大きな変化はなかったものの、両耳に小さく光るピアスを付けていました。

被告人質問では、検察官の質問に対し、1審判決後に面会取材に応じた事実自体を否定。自らの言動を“なかったことにしようとする”場面もありました。

死亡した女性の遺族も控訴審で意見陳述を行い、“被告は反省しているとは到底言えず、少なくとも1審の懲役12年判決が維持されることを望む”と訴えていました。

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