沖縄のお土産品に「石けん」があると言ったら、意外に思うかもしれない。沖縄生まれのスキンケアブランド「首里石鹸」だ。
RBCでは、カラフルな石鹸を取り巻く女性たちを追ったドキュメンタリー番組「日本のチカラ」を、6月1日 朝6時に放送する。この記事では、放送に先んじて、ダイジェストでお伝えしていくー
コールセンターからスタートした異色の企業
▽買い物客
「人に勧めたくなる。香りがまず良いので」
沖縄生まれのスキンケアブランド「首里石鹸」。月桃やシークワーサーなど沖縄由来の原料を使ったカラフルな石鹸が魅力のひとつだ。
▽首里石鹸を製造する男性
「手作りにこだわっているので、機械化する気は毛頭ないんですよ」
コロナ禍でも売り上げを伸ばし、今では全国で25店舗以上を展開する「首里石鹸」。その起源は…
「お電話ありがとうございます」
コールセンターだ。那覇市首里にある「株式会社コーカス」は2011年、コールセンター事業からスタートし、2016年に物販事業として「首里石鹸」を立ち上げた。
カメラは、コールセンター部門に勤務する崎浜有佐さん(33)の出勤に同行した。この日は、次男の煉牙ちゃんを連れて出社。
ー結構朝はいつもバタバタですか?
▽崎浜有佐さん
「朝はもうバタバタです。いつも長男の小学校を回って、会社に行くので、時間計算しながら動いています」
「戻ってきていいんですか?」「石けん事業」立ち上げにつながった一言
出社すると、崎浜さんが仕切って朝礼が始まった。
▽崎浜有佐さん
「きょう、2月の目標達成率、「ためになるをしたで賞」の表彰をしたいと思います」
盛り上げ上手でしっかり者の崎浜さん。入社後半年で責任者に抜擢され、これまで走り続けてきた。崎浜さんは、2人の子どもを育てるシングルマザーだ。
従業員のおよそ9割が女性のコーカス。崎浜さんのように出産を経て職場復帰する人も多く、仕事と育児に奮闘する崎浜さんは、社のユニークな制度に支えられていた。
「首里石鹸」誕生のきっかけは、かつて、ある従業員が産休に入る前、緒方社長に告げたひと言だった。
▽緒方教介社長(52)
「僕にポロっと「戻ってきていいんですか?」って言ったんですよ、それも産休入る1週間前くらいかな、それか数日前だったと思うんですけど―」
キャリアチェンジに挑む人もー
職場復帰に不安を抱える従業員に ”働き方の選択肢を” と立ち上げたのが、物販事業の「首里石鹸」だった。ここで新たな道を切り開いた人もいる。那覇市内の店舗で店長を務める、座安よしみさん(54)はその1人だ。
(接客風景)
▽お客さん 「入院の時って吐き気とかが大変だって言っているんです」
▽座安よしみさん 「抗がん剤ですね…」
会話をしながら、客に寄り添う座安さん。
▽座安よしみさん
「(コールセンターではなく)対面だと、目の動きだったりとかで、聞いてくれている、聞いてくれていないとか、喜んでいるっていうのが全部分かるじゃないですか。「よかった」って言われたら一番うれしいですよね」
元々、コールセンター部門に勤務していた座安さん。しかし、電話を介したクレーム対応に精神的な負担を感じ、「首里石鹸」に異動した。50代を目前にしたキャリアチェンジだった。
▽座安よしみさん
「(以前は)よく怖いって言われていましたね」
▽首里石鹸 課長 松尾大樹さん
「つい最近、あるスタッフが「座安さんが変わった」と。「前は首里石鹸のボスだったけど、今は母になった」っていう表現をしていた」
首里石鹸に勤務して6年あまりとなる座安さん。
▽座安よしみさん
「すみません…ちょっとそういうのもありましたけど」
今は店長として日々奔走する彼女は、ある葛藤を抱えていたー
(取材後記)
6月1日朝6時放送の「日本のチカラ」では、首里石鹼で働く女性たちが不安や葛藤を抱えながら、それぞれの道を前向きに歩む姿を描きます。子育てをしながら働く人、40代でキャリアチェンジした人、そして、そうした従業員を抱える中小企業にとって共感できる部分があるのではないかと感じています。ぜひ、放送で全編をご覧ください。(取材:RBC「NEWS Link」キャスター 與那嶺啓)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。