去年、「書道パフォーマンス甲子園」への出場を逃した熊本中央高校の奮闘を追いました。

書道パフォーマンスの集大成

音楽に合わせ踊りながら、縦4メートル×横6メートルの紙に書を連ねる書道パフォーマンス。熊本中央高校は今年1月の全国大会で3位に入った強豪校です。

熊本中央高校が今目指している舞台、それは…日本一の紙のまち愛媛県四国中央市で7月に開かれる「書道パフォーマンス甲子園」。書道パフォーマンスに打ち込む高校生にとって集大成となる最大の大会です。

しかし去年、熊本中央高校は出場権を逃しました。

熊本中央高校書道部 堀本真琴部長(3年)「今年は絶対予選を突破して、その上の甲子園優勝を目指している」

甲子園に向けての予選は、演技を動画で撮影し提出する方式です。各校の動画が採点され、九州ブロック上位2校が全国大会に出場します。

ポップスが定番の中 新たな挑戦へ

動画提出期限の約1か月前のこの日、メンバー9人全員の動きを合わせる練習です。

今回、予選突破はもちろん、全国大会での優勝を目指し部員たちは新たな演目に挑戦することにしました。

熊本中央高校書道部 田代真美子先生「ベートーヴェンの第九『歓喜の歌』でパフォーマンスに挑戦する。それが他校とは違うところ。(クラシックで)やっている学校はみたことないです」

歌詞があるポップスが定番ですが、クラシックは歌詞がないため合わせるのが難しく、難易度がはね上がるそう。

堀本部長「私がもう一回上がるのが気になる」

メインの字を書くメンバーを引き立たせたいパートですが、動きが合わず思ったような見た目にはなっていませんでした。

堀本部長「両方が目立っていて。メインの字を書くメンバーを目立たせたいけど、目立っていないから、どうやって目立たせようか悩んでいるところです」

4月26日、動画提出の締め切りまで2週間となったこの日、田代先生と部員たちが話し合いをしていました。そこで部員から出てきた意見は…。

「楽しいパフォーマンスはできない」

田代先生「今の仕上がりや自分の感覚を教えてもらいたい」

演目の難易度が高く完成度が上がっていなかったのです。

堀本部長「私たちは楽しいパフォーマンスを届けたいと思っているけど、自分たちが楽しいと思っていないとそういう(納得のいく)パフォーマンスはできないから。今のままでは、まずいかなと思う」

九州予選を突破できなければ、その先はない。

演目の見直しを迫られます。部員たちの決断は…。

部員「まずは予選通過を目指したいから『蒼穹(そうきゅう)の舞』で」
部員「すごく笑顔でパフォーマンスできた作品だから『蒼穹の舞』のほうがいいと思います」

クラシックの演目を諦め、全国大会で3位に輝いた演目『蒼穹の舞』で勝負することにしました。

今できる「ありのまま」を

動画撮影を2日後に控えたこの日、全員で通しの演技をしました。

その出来栄えは?

田代先生「こっちの方が映えるね」
堀本部長「そのぐらいだったらちょうどいいかも知れない」

そして動画撮影当日…。

泣いても笑っても「等身大の私が好き」

部員たち「熊本中央高校です。お願いします」

前半は落ち着いた音楽に合わせ、文字の背景となるデザインを書き込んでいきます。

部員「大空に舞う鳥のように、新しい自分の幕開けだ」

今までの練習で重ねてきた想いも、身体全体で表現、力強い声が会場に響きます。

曲が変わった後半は、笑顔で書道パフォーマンスを楽しむのが私たちだというメッセージをダンスと共に伝えます。

そして最後の文字を書き終え…今できる「ありのまま」を作品にぶつけました。

『蒼穹の舞』ありのままの想いを書で表す『等身大の私が好き』

堀本部長「みんなも笑顔だったり泣いたりしていて…良い作品ができたと思う」

九州代表となれるのか、結果は6月14日に発表されます。

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