この記事を読むとカラスの見方が変わるかもしれません。

 低空飛行で飛ぶカラス。鳴き声を発し、人を威嚇します。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「鳴いてますね。何か怪しいぞこいつらみたいな」

 カラスは、子育ての季節になるとヒナを守るために気性が荒くなるのです。
 そして、4~7月は、子育て真っ盛り。特に、ヒナが巣立つ6月は、要注意なのです。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「カラスにとってもあんなに体力を使って人間に直接触れて攻撃するのはもう、ほぼほぼ命がけなんですよね」

 一方で今、カラスに「異変」が起きているといいます。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「(カラスが)減ってるんですよね。実はもうここ何年間、かなりの勢いで」

 カラスから身を守るためには、どうすればよいのか?
 そして、なぜ、カラスは減っているのか?もうひとホリします。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「お母さん入ってますね、左側に尾羽が見えてます」

 中村眞樹子さんは、カラスと人間の関わりに興味を持ち、1999年から、札幌のカラスの生態を研究しています。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「3本目の木の上のほう見ると尾羽見えて、ハンガーがいっぱいあって、これもブト(ハシブトガラス)です。基本的に人を襲うのはハシブトガラス」

 普段はおとなしいカラス。しかし、今の時期は、キツネやネコなどから卵やヒナを守ろうと気性が荒くなります。
 そして、子どもが巣立ちをする6月は、親ガラスは攻撃的になるのです。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「2羽でまだこいつら見てるぞみたいな。もっと怒ると小刻みにカカカカって鳴いて何回も来るし、いかにも怒ってるぞってわかります」

 短く鳴いているのは、カラスが警戒している証拠。こうなると襲ってくる可能性があります。
 中村さんによると、襲われないためには、「両手をあげて歩く」「傘をさす」といったことが有効だといいます。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「一番いいのは傘をさしたりとか、傘がなければもう両腕まっすぐ上げて、走ったりしないで通り過ぎるか戻る。(カラスは)頭を蹴ろうとするから、翼が引っかかって、(カラスが)けがをする可能性がある」

 翼を守ろうとする習性を逆手に取った、カラスから身を守る方法です。
 そんなカラスについて、中村さんは、ある「変化」を感じています。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「減ってるんですよね。実はもうここ何年間、かなりの勢いで。20年以上前だと7000羽とかそのぐらいいたんですけど、今年もそうですけど3500羽とかね。半減ですよね。全体的に食べ物が減ってきてるんだろうなと。食べ物の減少と、ここ数年札幌ですごく鳥インフルエンザが猛威を振るってますよね」

 札幌のカラスの数が減っているというのです。
 その理由を、中村さんは「おととしの鳥インフルエンザの流行」や「新幹線工事で札幌駅と桑園駅の間の緑道がなくなったこと」が
影響しているのではないか、と考えています。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「生息環境がなくなっちゃったりもするでしょうし、いい営巣木がなくなったりとかね。巣立ちヒナ数も減ってるし、繁殖数も減ってるので全体的に減ってる。こんな一生懸命育ててるんだけども、翌年の今頃にどのぐらい去年生まれの残ってるかといったら、本当にちょっとしかいなくてね」

 人間の最も身近な野鳥でもあるカラス。その数が減少すると、どんな影響があるのでしょうか?

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「適度にカラスとか捕食者が食べてくれて、今のこの生息数が成り立ってんですよね。もし捕食者がいなくなれば爆発的に増えちゃって、いまそれでいうとエゾシカがそうですよね」

 中村さんは、カラスが減ると、現在のバランスが崩れてネズミや害虫が増えるのではないかと考えています。

NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「例えばたくさんカモが増えちゃったら、餌もなくなるだろうし生息場所もなくなるし。生態系のピラミッド、それが成り立ってるので、それが欠けるとやっぱり崩れるから全部に影響出ると思うんですよね」

 カラスの減少による生態系への影響、具体的にどのようなことが懸念されるのでしょうか。
 酪農学園大の浅川満彦教授(獣医学)は、「カラスが減ると昆虫やネズミ、キタキツネが増える可能性がある」と話しています。

 カラスは、その見た目から嫌われてしまうことも多いのですが、一方でカラスが減ることで去年、大発生した「クスサン」や「マイマイガ」などが増えてしまうかもしれません。
 中村さんは、「キタキツネを都会でよく見かけるようになったのはカラスが減少したからではないか」と話しています。

 カラスは、身近な存在だった分、その変化に関心を払う機会がありませんでしたが、今日をきっかけに、自然環境の中で役割を果たしているという目線で見ていただけたらと思います。

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