旧優生保護法により不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めた裁判。最高裁できょう、原告と国の意見を聞く弁論が開かれました。「人生が狂わされた」。原告が被害の深刻さを訴えました。

原告の一人 北三郎さん(仮名・81)
「一言ぐらいは国に謝ってもらいたい」

旧優生保護法によって不妊治療を受けた人たちが「差別的な取り扱いで憲法に違反していた」として、国に賠償を求めた5つの訴訟。きょう、最高裁大法廷で原告と国の意見を聞く弁論が開かれました。

原告の一人、宮城県の飯塚淳子さん(仮名・70代)。16歳の時に何も知らされずに受けた手術で人生が狂わされたと訴えました。

飯塚淳子さん(きょうの弁論)
「手術されたことを打ち明けたとたん、夫は私のもとを去っていきました。手術は幸せな結婚や子どもというささやかな夢をすべて奪いました。手術によって、私の人生は狂わされてしまったのです」

一方の国は、不法行為があっても20年経つと賠償を求められなくなる「除斥期間」という制度を理由に、訴えを退けるよう求めています。

5つの高裁判決のうち4つは原告が勝訴していますが、残る1つは「除斥期間」を理由に原告側が敗訴していて、司法の判断は割れています。

原告の一人、北三郎さん(仮名・81)。差別や偏見のおそれから、40年以上連れ添った妻にも亡くなる直前まで被害を打ち明けられなかった悔しさを訴えました。

北三郎さん(きょうの弁論)
「手術のせいでみんなが秘密を抱えてきました。子どもを産む、産まないは人から勝手に決められることではありません。この判決が自分のことを自分で決められる社会につながることを心から願っています」

最高裁は今年の夏にも判決を言い渡し、統一判断を示す見通しです。

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