日本の食文化でもある漬物が、食品衛生法の改正によって6月から営業許可がないと販売できなくなります。これまで自宅などで漬物を作ってきた生産者は、衛生基準を満たした設備を設けることが必要になり、対応を迫られています。

地域の味、漬物

南真央記者:
「太白区にある産直市場にきています。キムチや浅漬けなど地元の方の手作りの漬物がずらりと並んでいるんですが、これらの漬物にも6月以降、影響が出る可能性があるんです」

仙台市内にある直売所では、宮城県内の生産者がつくるおよそ40種類の漬物が並んでいます。

買い物客:
「スーパーで買うのだといろいろな添加物も入っているので、できるだけここで買うようにしてます。美味しいし、安心して買える」
「お気に入りですよ、この辺。生産者の心意気かな?そこを感じてきています」

食品衛生法の改正でどうなる?

地域の味でもある漬物。これまでは届け出をすれば製造、販売が可能でしたが、食品衛生法の改正により6月からは衛生基準が厳しくなり、保健所の営業許可を得ないと販売できなくなります。

元気くん市場仙台南店 早坂進店長:
「こちらの浅漬けが、小規模でやっている方が多いので影響出る方多いんじゃないかなと思います。旬な時期だけ漬物をつけて店に出すという方はこれから少なくなるような感じではありますね」

生産者はどう対応するのか

涌谷町で漬物を生産販売するさとう味工房です。

代表を務める佐藤厚子さんは、4年前からキュウリやダイコンなど地元の野菜を味噌漬けなどにして美里町の直売所やスーパーに出荷しています。

さとう味工房 佐藤厚子代表(70):
「昔の人たちが食べた味がいいということで、皆さんに食べてもらっている」

改正された食品衛生法では、加工場と生活する場所を明確に分けることや水回りの設備など衛生基準を満たした施設を設けることが必要となります。

さとう味工房 佐藤厚子代表:
「元々は昔ながらのねじるような蛇口だった。衛生的には良くないということで蛇口を替えたほうがいいということだった」

佐藤さんは4年前に自宅の作業場を改修して専用の加工場を設置したことから、新たな施設を整備する必要はありませんでした。しかし、法改正を受け、7か所の水道の蛇口を全てより衛生的なレバー式に交換し、4月、保健所から営業許可をもらいました。

漬物作りをやめる人も…?

一方で、設備改修の費用負担や高齢化などから漬物作りをやめる人もいると話します。

さとう味工房 佐藤厚子代表:
「いま何でも物価が上がっているので、(施設を)直すといってもそれなりにお金がかかる。この機会にやめてしまう方が多いと思う」

日本の食文化である漬物。佐藤さんは安全を第一にこれからも消費者に届けていきたいと話します。

さとう味工房 佐藤厚子代表:
「漬物といっても食中毒もあるので、そういう点には十分に注意して作っていきたい」

食品衛生法は、
・2012年に北海道で漬物を原因として8人が亡くなった食中毒が発生したこと
・食品衛生の国際基準(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化のため
2018年に改正されました。

これまでは猶予期間でしたが6月から完全に施行されます。
取材した直売所では、猶予期間に対応を進めた生産者が多いそうです。また、直売所としても、営業許可証の確認を進めているということです。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。